●平成20(行ケ)10216「レールの据付方法および据付構造事件」知財高

Nbenrishi2009-03-28

 本日は、『平成20(行ケ)10216 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟「レールの据付方法および据付構造」平成21年03月25日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090326100653.pdf)について取上げます。


 本件は、特許無効審判において訂正の請求を認めた上で無効審判請求を棄却した審決の取消しを求めた審決取消訴訟で、請求項17ないし20に係る発明についての審判請求を成り立たないとした部分を取り消した事案です。


 本件では、特許無効審判の請求がされている請求項に係る特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正の請求は,各請求項ごとに個別に請求することが許容され,その許否も各請求項ごとに個別に判断されるべきである、と判示された点で、参考になる事案です。


 本件は、特許異議申立てにおける訂正の請求は、請求項毎に個別に判断されるべきである、と判示した最高裁判決である、

●『平成19(行ヒ)318 特許取消決定取消請求事件 特許権 行政訴訟発光ダイオードモジュールおよび発光ダイオード光源」平成20年07月10日 最高裁判所第一小法廷』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080710145411.pdf)等、


 を引用して判示しています。


 つまり、知財高裁(第3部 裁判長裁判官 飯村敏明、裁判官 齊木教朗、裁判官 嶋末和秀)は、


『(4) 小括

 上記検討したところによれば,訂正前明細書の請求項17における「スペーサによって互いの間隔を保持され」という記載を削除する訂正事項e−2は,誤記の訂正を目的とするものとは認められず,また,同訂正事項より,請求項17に係る発明は「スペーサによって互いの間隔を保持され」ていないものを含むことになるから,実質上,特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものというべきである。


 そして,訂正事項e−2は,単に形式的なものではなく,請求項17に係る発明の技術的範囲に実質的影響を及ぼすものであるから,審決が,請求項17についての訂正(訂正事項e)を認めたこと,また,請求項17についての訂正と不可分の関係にあることが明らかな段落【0023】についての訂正(訂正事項j)を認めたことは,誤りというべきであるが,特許無効審判の請求がされている請求項に係る特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正は,各請求項ごとに個別に請求することが許容され,その許否も各請求項ごとに個別に判断されるべきであり,また,訂正が誤記の訂正のような形式的なものであって,特許請求の範囲に実質的影響を及ぼさないものであるときも,同様と解されるから,本件訂正におけるその余の訂正事項の適否の判断には影響しないものというべきである最高裁判所平成19年(行ヒ)第318号平成20年7月10日第一小法廷判決・裁判所時報1463号262頁,最高裁判所昭和53年(行ツ)第27号,第28号昭和55年5月1日第一小法廷判決・民集34巻3号431頁参照)。


 なお,訂正請求書(甲21)によれば,訂正事項eに係る訂正請求は,請求項17についてのみでなく,同請求項を引用する請求項18ないし20(いずれも特許無効審判の請求がされている請求項である。)との関係でも請求されていると認められる。


 そうすると,審決は,訂正事項eに係る訂正を誤って認めたことにより,本件発明17ないし20の各発明の要旨認定を誤ったものであり,この誤りが,審決中,請求項17ないし20に係る審判請求を成り立たないとした部分の結論に影響することは明らかである。


 原告主張の取消事由3は理由がある。


4 結論

 以上のとおり,原告主張の取消事由1及び取消事由2(ただし,本件発明2ないし16に係る部分)は理由がないが,取消事由3は理由がある。


 したがって,原告の本訴請求は,審決中,特許第3824948号の請求項17ないし20に係る発明についての審判請求を成り立たないとした部分の取消しを求める限度で理由があり,その余は理由がない。』


 と判示されました。


 なお、本判決中で引用している判例は、上述の最高裁判決である、


●『平成19(行ヒ)318 特許取消決定取消請求事件 特許権 行政訴訟発光ダイオードモジュールおよび発光ダイオード光源」平成20年07月10日 最高裁判所第一小法廷』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080710145411.pdf)と、


●『昭和53(行ツ)27等 審決取消請求、同附帯 実用新案権 行政訴訟「耕耘機事件」昭和55年05月01日 最高裁判所第一小法廷』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/97AE09514AE7A73149256A8500312019.pdf


 です。


 詳細は、本判決文を参照して下さい。