●平成20(行ケ)10326 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟

 本日は、『審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成21年03月24日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090324173142.pdfについて取上げます。


 本件は、商標法51条1項の規定に基づく商標登録取消審判の棄却審決の取消しを求め、その請求が認容された事案です。


 本件では、被告のホームページにおける「スタッフ日誌」における標章の使用でも、商標法2条3項8号に規定する「役務に関する広告・・・を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当するとした判断が参考になるかと思います。


 つまり、知財高裁(第4部 裁判長裁判官 田中信義、裁判官 浅井憲、裁判官 榎戸道也)は、


『(2) 上記(1)によれば,被告のホームページ(甲18及び25)は,全体として,被告の役務(本件商標に係る指定役務である「建物の貸借の代理又は媒介」)に関する広告を内容とする情報を電磁的方法により提供するものであることは明らかである。


 そして,「スタッフ日誌」と題する各記事を被告のホームページから独立したものとみるべき事情は窺われないし,その内容をみても,最寄り駅から遠方に所在する物件(そのような物件の借り手が比較的見つかり難いことは明らかである。)の借り手を誘引するものや,仙川駅(上記(1)によれば,被告が取り扱う物件は,仙川駅を最寄り駅とするものが多いものと認められる。)周辺の魅力を紹介するものであるから,「スタッフ日誌」と題する各記事を被告のホームページ上に掲載する行為も,被告の上記役務に関する広告を内容とする情報を電磁的方法により提供するものであると評価し得るものである。


 そうすると,そのような「スタッフ日誌」と題する各記事の冒頭に原告主張標章を付すことは,商標法2条3項8号に規定する「役務に関する広告・・・を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」,すなわち,標章の「使用」に該当することが明らかであり,また,そのような各記事の冒頭に付された原告主張標章は,同条1項2号に規定する「業として役務を提供・・・する者がその役務について使用をするもの」,すなわち,商標法上の「商標」に該当することが明らかであるから,被告は,少なくとも平成19年秋ころまで,原告主張標章を商標として使用していたものと認めるのが相当である。


(3) 被告は,「原告主張標章は,『スタッフ日誌』と題する各記事において,項目ごとの極めて小さい目印に使用されているものであって,商標として使用されているものではないし,取引者及び需要者により商標として看取されるものではない」旨主張するが,表示の大小や被告主張の目印的機能があるとしても,これらの事情が原告主張標章の構成及び色彩を看取する何らの妨げとなるものではないし,また,前記に認定説示した使用態様は,商標法2条3項8号に規定する標章の「使用」の定義及び同条1項2号に規定する「商標」の定義に照らせば商標の使用に該当することは明らかであり,被告主張の上記事情は,「スタッフ日誌」と題する各記事の冒頭に原告主張標章を付すことが商標の使用であることを否定する理由となるものではない。


(4) 以上によれば,被告が原告主張標章を商標として使用しているものとは認められない旨の審決の認定は誤りであるといわざるを得ないところ,審決は,原告主張標章の商標としての使用について,商標法51条1項に規定する要件を満たすか否かについての判断をしていないのであるから,当該認定の誤りが審決の結論に影響を及ぼすことは明らかである。


 したがって,取消事由1は理由がある。


 2 結論

 よって,その余の取消事由について判断するまでもなく,原告の請求は理由があるから,同請求を認容することとして,主文のとおり判決する。』


 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照して下さい。