●平成20(行ケ)10357 審決取消請求事件 特許権「レベルシフタ」

 3/19(木)は、以前参加していた社外委員会のOB・OG会に参加してきました。現在当該委員会に継続している方を始め、卒業されている方の懐かしい方や、今年度から新規参加されている方も来られ、昔話や現況の報告等があり、とても楽しく過ごすことができ、2次会まで楽しんできました。皆様お疲れ様でした。また、8月に行われるということですので、とても楽しみです。
 

 さて、本日は、『平成20(行ケ)10357 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟「レベルシフタ」平成21年03月17日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090317143847.pdf)について取上げます。


 本件は、拒絶審決の取消しを求めた審決取消訴訟で、その請求が棄却された事案です。


 本件では、拒絶審決の理由である特許法第36条6項1号に規定するサポート要件についての判断が参考になるかと思います。


 つまり、知財高裁(裁判長裁判官 田中信義、裁判官 浅井憲、裁判官 杜下弘記)は、


1 取消事由(特許法36条6項1号に規定する要件の具備についての判断の誤り)について


(1) 本願発明について

ア 本願発明は,請求項1(前記第2の2)の記載から明らかなとおり,本件3つの構成要素を含む各構成要素の相互関係については,単にそれらの電気的な接続関係を規定したにとどまるものであるから,半導体基板上に形成されるパワーデバイス制御駆動用のレベルシフタであって,請求項1記載の電気的な接続関係を有する同請求項記載の各構成要素を有し,これらの構成要素が半導体基板において相互に分離されていない近接した位置に存在する発明(以下「近接配置された本願発明」という。)を含むものと認められる。


イ 原告は,本願発明の回路接続関係に照らし,本願発明において,「電界効果トランジスタをレベルシフト抵抗及び高耐圧ピンチ抵抗等の高電位部から引き離して配置する」との空間的配置関係が採用されていることは明らかである旨主張するが,前記第2の2の請求項1の記載に照らすと,本願発明が,そのような空間的配置関係を有するものに限定されていることを窺わせる記載を見出すことはできないから,原告の上記主張を採用することはできない。


(2) 特許法36条6号1号の要件適合性について

 そこで,以下,近接配置された本願発明につき,請求項1の記載が特許法36条6項1号の要件に適合するものであるか否かについて検討する。


ア 特許請求の範囲の記載が特許法36条6項1号に規定するいわゆるサポート要件に適合するものであるか否かについては,特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し,発明の詳細な説明に,当業者において当該発明の課題が解決されるものと認識することができる程度の記載ないし示唆があるか否か,又は,その程度の記載や示唆がなくても,特許出願時の技術水準に照らし,当業者において当該発明の課題が解決されるものと認識することができる程度の記載ないし示唆があるか否かを検討して判断すべきものと解するのが相当である。


 ・・・省略・・・


(3) 以上のとおりであるから,取消事由は理由がない。


2 結論

 よって,原告の請求は理由がないから,同請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。』


 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照して下さい。