●平成20(行ケ)10344審決取消請求事件 商標権「おおたかの森事件」

 本日は、『平成20(行ケ)10344 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟「おおたかの森事件」平成21年02月24日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090225093121.pdf
)について取上げます。


 本件は、商標法50条1項に基づく商標登録の取消し審決の取消しを求め、その請求が棄却された事案です。


 本件では、商標法50条2項ただし書における「登録商標の使用をしていないことについて正当な理由」について判断が参考になるかと思います。


 つまり、知財高裁(第2部 裁判長裁判官 中野哲弘、裁判官 今井弘晃、裁判官 清水知恵子)は、


『(1) 商標法50条2項ただし書は,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者が指定商品に登録商標を使用していないとしても,「登録商標の使用をしていないことについて正当な理由」があることを被請求人(商標権者)が明らかにしたときには,登録商標は取り消されない旨を規定する。


 ここでいう「正当な理由」とは,法的な規制によって商品を製造販売することができなかったとか,天災によって商品を製造販売することができなかったなど,商標権者の責めに帰することができない事情によって審判請求の予告登録前3年以内に登録商標を使用することができなかった場合をいうものと解される。


(2) しかるに,本件における原告の主張は,本件商標登録後は国外であるアメリカ合衆国(ハワイ等)に居住し,ハワイ大学における農業資源経済学の研究で多忙であったから,本件商標を使用することができなかったことにつき正当な理由があったというものであるが,原告提出の証拠(甲1−1,2)及び弁論の全趣旨によっても,毎年,年末年始,春季及び夏季の休業の間は帰国して登録原簿上の住所等に数日間は一時帰国しているのであって,これらを含めた上記事情は,ここでいう「正当な理由」に当たるということはできない。原告は,原告の研究が優れたものであって,学問,社会へ貢献するものであると主張するが,そのような事情は,これを肯認する余地があるとしても,上記「正当な理由」の存在を認める根拠となるものではない。


(3) したがって,本件について「登録商標の使用をしていないことについての正当な理由」は,これを認めることができない。


2 結論


 以上のとおりであるから,原告主張の取消事由は理由がない。


 よって,原告の請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。』


 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照して下さい。