●平成14年に出された知財事件の最高裁判決(2)

 今日は、実家の近くの病院までお見舞いのため車を運転して行きました。途中でガソリンを入れたのですが、かなりガソリン価格が下がりましたね!もう少しで1リットル100円を切りそうで、この点では、とてもうれしいのです。が、年末のせいか、あちこちで道路工事をしていて、帰路だけでも、3回も工事渋滞にあい、本当に参りました!病院にお見舞いに行くたびに思うのですが、病院はいつも人手が少なそうで、現在および将来の高齢化社会を考えると、本当に税金は、道路工事等の公共工事ではなく、医療や福祉等へ回して欲しいと思います。


 さて、本日は、平成14年に出された知財事件の最高裁判決で、裁判所HP(http://www.courts.go.jp/)に掲載されている残りの最高裁判決3件について、下記の通り、簡単に紹介します。


 偶然か否かは不明ですが、平成14年に出された下記の知財事件の最高裁判決3件は、共有に係る特許権や商標権等についての共有者の1人が単独で取消決定の取消訴訟を提起することができる、と判示した最高裁判決です。


●『平成13(行ヒ)154 特許取消決定取消請求事件 特許権 行政訴訟「パチンコ装置事件」平成14年03月25日 最高裁判所第二小法廷』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/62783D851F466B5F49256CB5000A0706.pdf

 ・・・『特許権の共有者の1人は,共有に係る特許の取消決定がされたときは,特許権の消滅を防ぐ保存行為として,単独で取消決定の取消訴訟を提起することができると解するのが相当である最高裁平成13年(行ヒ)第142号同14年2月22日第二小法廷判決・裁判所時報1310号5頁〔編注:民集56巻2号348頁〕参照)。


 なお,特許法132条3項の「特許権の共有者がその共有に係る権利について審判を請求するとき」とは,特許権の存続期間の延長登録の拒絶査定に対する不服の審判(同法67条の3第1項,121条)や訂正の審判(同法126条)等の場合を想定しているのであって,一般的に,特許権の共有の場合に常に共有者の全員が共同して行動しなければならないことまで予定しているものとは解されない。


 特許権の共有者の1人が単独で取消決定の取消訴訟を提起することができると解しても,合一確定の要請に反するものとはいえない。また,各共有者が共同して又は各別に取消訴訟を提起した場合には,これらの訴訟は類似必要的共同訴訟に当たるから,併合して審理判断されることになり,合一確定の要請は充たされる。』、と判示した最高裁判決。


●『平成13(行ヒ)12 商標権 行政訴訟水沢うどん事件」平成14年02月28日 最高裁判所第一小法廷』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070314112229.pdf

 ・・・『商標権の共有者が各自単独で無効審決の取消訴訟を提起することができると解しても,その訴訟で請求認容の判決が確定した場合には,その取消しの効力は他の共有者にも及び(行政事件訴訟法32条1項),再度,特許庁で共有者全員との関係で審判手続が行われることになる(商標法63条2項の準用する特許法181条2項)。


 他方,その訴訟で請求棄却の判決が確定した場合には,他の共有者の出訴期間の満了により,無効審決が確定し,権利は初めから存在しなかったものとみなされることになる(商標法46条の2) 。いずれの場合にも,合一確定の要請に反する事態は生じない。


 さらに,各共有者が共同して又は各別に取消訴訟を提起した場合には,これらの訴訟は,類似必要的共同訴訟に当たると解すべきであるから,併合の上審理判断されることになり,合一確定の要請は充たされる。


 以上説示したところによれば,商標権の共有者は,共有に係る商標登録の,無効審決がされたときは,各自,単独で無効審決の取消訴訟を提起することができると解するのが相当である。』、と判示した最高裁判決。


●『平成13(行ヒ)142 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟「ETNIES事件」平成14年02月22日 最高裁判所第二小法廷』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/C58C13F2115911AC49256BF200267A0A.pdf)

 ・・・『商標権の共有者の1人が単独で無効審決の取消訴訟を提起することができると解しても,その訴訟で請求認容の判決が確定した場合には,その取消しの効力は他の共有者にも及び(行政事件訴訟法32条1項),再度,特許庁で共有者全員との関係で審判手続が行われることになる(商標法63条2項の準用する特許法181条2項)。


 他方,その訴訟で請求棄却の判決が確定した場合には,他の共有者の出訴期間の満了により,無効審決が確定し,権利は初めから存在しなかったものとみなされることになる(商標法46条の2)。いずれの場合にも,合一確定の要請に反する事態は生じない。


 さらに,各共有者が共同して又は各別に取消訴訟を提起した場合には,これらの訴訟は,類似必要的共同訴訟に当たると解すべきであるから,併合の上審理判断されることになり,合一確定の要請は充たされる。

 以上説示したところによれば,商標権の共有者の1人は,共有に係る商標登録の無効審決がされたときは,単独で無効審決の取消訴訟を提起することができると解するのが相当である。』、と判示した最高裁判決。