●平成15年に出された知財事件の最高裁判決(1)

 今日は、午後から弁理士会会員研修の「侵害訴訟について」を途中から聴いていきました。午後一の会議終了後にあわてて駆けつけての遅刻しての受講のため受講の単位はもらえませんが、後半の侵害訴訟の審理から聴け、東京地裁の判断の動向などがわかりましたので、参考になりました。弁理士会の会員研修は、時間のゆるすかぎり直接講義を受講したいと思います。


 さて、本日は、平成15年に出された知財事件の最高裁判決で、裁判所HP(http://www.courts.go.jp/)に掲載されている2件の最高裁判決について、下記の通り、簡単に紹介します。


●『平成14(行ヒ)200 特許権 行政訴訟「窒化ガリウム系化合物半導体発光素子」平成15年10月31日 最高裁判所第二小法廷』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070314112557.pdf


 ・・・『特許を取り消すべき旨の決定の取消請求を棄却した原判決に対して上告又は上告受理の申立てがされ,上告審係属中に当該特許について特許出願の願書に添付された明細書を訂正すべき旨の審決が確定し,特許請求の範囲が減縮された場合には,原判決の基礎となった行政処分が後の行政処分により変更されたものとして,原判決には民訴法338条1項8号に規定する再審の事由がある。そして,この場合には,原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があったものというべきである(最高裁昭和58年(行ツ)第124号同60年5月28日第三小法廷判決・裁判集民事145号73頁参照。)』、等と判示した最高裁判決。


 なお、本判決文中で引用している最高裁判決は、『昭和58(行ツ)124 実用新案権 行政訴訟「電気掃除機事件」昭和60年05月28日 最高裁判所第三小法廷』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070314103410.pdf

 です。


●『平成13(受)1256 補償金請求事件 特許権 民事訴訟オリンパス職務発明事件」平成15年04月22日 最高裁判所第三小法廷』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/63C0C6C63BFAD25F49256DB00026A1E1.pdf

 ・・・職務発明の対価の額について、『勤務規則等により職務発明について特許を受ける権利等を使用者等に承継させた従業者等は,当該勤務規則等に,使用者等が従業者等に対して支払うべき対価に関する条項がある場合においても,これによる対価の額が同条4項の規定に従って定められる対価の額に満たないときは,同条3項の規定に基づき,その不足する額に相当する対価の支払を求めることができると解するのが相当である。』と、

 また、職務発明の対価の支払いの受ける権利の消滅時効の起算点について、『勤務規則等に,使用者等が従業者等に対して支払うべき対価の支払時期に関する条項がある場合には,その支払時期が相当の対価の支払を受ける権利の消滅時効の起算点となると解するのが相当である。

 等と判示した最高裁判決。