● 平成16年に出された知財事件の最高裁判決

 本日は、平成16年に出された知財事件の最高裁判決で、裁判所HP(http://www.courts.go.jp/)に掲載されている最高裁判決について、下記の通り、簡単に紹介します。


●『平成15(行ヒ)265 商標権 行政訴訟「LEONARD KAMHOUT事件」平成16年06月08日 最高裁判所第三小法廷』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070314112738.pdf


 ・・・「商標法4条1項8号の括弧書の承諾は、出願時において受けていても、査定時にこれを欠くときは,商標登録を受けることができない。」、と判示した最高裁判決。


●『平成13(受)866等 製作販売差止等請求事件 その他 民事訴訟ギャロップレーサー事件」平成16年02月13日 最高裁判所第二小法廷』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/30FD115A02C8A4A549256EDE0026A362.pdf


 ・・・「競走馬等の物の所有権は,その物の有体物としての面に対する排他的支配権能であるにとどまり,その物の名称等の無体物としての面を直接排他的に支配する権能に及ぶものではないから,第三者が,競走馬の有体物としての面に対する所有者の排他的支配権能を侵すことなく,競走馬の名称等が有する顧客吸引力などの競走馬の無体物としての面における経済的価値を利用したとしても,その利用行為は,競走馬の所有権を侵害するものではないと解すべきである(最高裁昭和58年(オ)第171号同59年1月20日第二小法廷判決・民集38巻1号1頁参照)

 本件においては,前記事実関係によれば,1審被告は,本件各ゲームソフトを製作,販売したにとどまり,本件各競走馬の有体物としての面に対する1審原告らの所有権に基づく排他的支配権能を侵したものではないことは明らかであるから,1審被告の上記製作,販売行為は,1審原告らの本件各競走馬に対する所有権を侵害するものではないというべきである。・・・

 上記各法律の趣旨,目的にかんがみると,競走馬の名称等が顧客吸引力を有するとしても,物の無体物としての面の利用の一態様である競走馬の名称等の使用につき,法令等の根拠もなく競走馬の所有者に対し排他的な使用権等を認めることは相当ではなく,また,競走馬の名称等の無断利用行為に関する不法行為の成否については,違法とされる行為の範囲,態様等が法令等により明確になっているとはいえない現時点において,これを肯定することはできないものというべきである。したがって,本件において,差止め又は不法行為の成立を肯定することはできない。」、等と判示した最高裁判決。


 なお、本判決文中で引用されている最高裁事件は、

●『昭和58(オ)171 書籍所有権侵害禁止 著作権 民事訴訟の「顔真卿自書建中告身帖」昭和59年01月20日 最高裁判所第二小法廷』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/DFE979802F014DBB49256A8500311F7D.pdf

 です。