●弁理士会会員研修「均等論その後」

Nbenrishi2008-10-16

 昨日は、午後から弁理士会研修「均等論その後」を受講してきました。講師は、小谷弁理士です。


 まず、特許発明の技術的範囲の解釈から始まり均等論が認められるまでの経緯を説明され、最終的には、ボールスプライン最高裁以降で5要件について判示した判決例を紹介して説明され、とても参考になりました。


 個人的には、前々から第1要件の「非本質的事項」の解釈について、特許発明の構成要素のほとんどを本質的事項が占める基本発明ほど均等論が認められなくなる第1要件の存在は、おかしいと思っていたのですが、講師の説明によれば、それと同様であり、第1要件の「非本質的事項」の解釈については、第1類型(パイオニア発明)と、第2類型(キャッチアップ型発明)とに分けて考えるとのことでした。


 つまり、課題の解決原理が新しいパイオニア発明(第1類型)の場合、クレームされている構成要件が具体的な表現で記載されていてもそれを形式的に取り出すのではなく、先行技術と対比して課題の解決手段といえる特徴的原理を確定して、対象製品に実質的に同一原理が用いられている場合、その解決原理を本質部分として捉え、クレームされている具体的な構成要件部分を非本質的部分と認定するのに対し、課題の解決原理自体が従来から知られているキャッチアップ型発明(第2類型)の場合には、クレームに記載された具体的な解決手段そのものを本質部分と認定して均等を考える、とのことです。


 均等の第1要件の「非本質的事項」の解釈について、このような2つの考え方は初めて聞いたので、この考えによれば当方の疑問も解決できそうで、参考になりました。


 その他、「独自開発と置換容易性」や、均等の第5要件の判断における大阪地裁・大阪高裁(西)と東京地裁(東)との違いなど、興味のある話もあり、この点でも参考になりました。


 時間のあるときに今日配布されたテキストと資料集とをゆっくり読みたいと思います。