●平成20(行ケ)10167 審決取消請求事件 商標権「SUN KID」

 本日は、『平成20(行ケ)10167 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟「SUN KID」平成20年09月29日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080929165120.pdf)について取上げます。


 本件は、不使用商標登録取消審判の棄却審決の取消しを求めた審決取消訴訟で、その請求が棄却された事案です。


 本件では、商標の使用についての判断が参考になるかと思います。


 つまち、知財高裁(第2部 裁判長裁判官 中野哲弘、裁判官 森義之、裁判官 澁谷勝海)は、

3 被告による本件商標使用の有無について

(1) 前記認定事実によれば,被告は,平成12年9月から平成17年9月末までの間,片岡フードサービスに対し,容器(包装)に本件商標である「SUN KID」との標章を付して,取消請求に係る指定商品の一つであるグレープフルーツジュース(果実飲料)又は清涼飲料を販売したことが認められこれは法2条3項1号の定める「商品の包装に標章を付する行為」及び同2号「商品の包装に標章を付したものを譲渡…する行為」に該当するから,被告は,取消審判予告登録日である平成18年12月12日より3年前以内に本件商標を使用したと認められる。


(2) これに対し原告は,本件商標の使用は親子会社間で,しかもアンテナショップという極めて閉鎖的な環境において実験的に行われたものであって,一般取引市場における流通に置かれたことはないから,商標としての使用には当たらない等と主張する。


 しかし,上記2に認定した事実関係に照らせば,被告と片岡フードサービス間における本件商品の取引を一般の商取引と別異に解すべき事情は見当たらない。


 もとより,商標としての使用は,取引主体が親子会社の関係にあるということで当然失われるものではないし,また,いわゆるアンテナショップという形態を採ったことで商品の供給者と受給者が特定の業者に固定されることがあっても,そのような事情は一般の業者間取引においてもあり得るものであって,これにより当該アンテナショップに提供される商品に市場流通性がないということはできない。その他,被告と片岡フードサービス間における取引が一般の商取引とは著しく異なる特殊なものであるなど,それにより商標としての使用を否定すべき事情は見当たらない。


 したがって,原告の上記主張は採用することができない。


(3) なお,原告は審決に審理不尽の違法があるとも主張するが,審決の判断に誤りがないことは上記に照らして明らかであり,審理不尽の違法は認められない。したがって,原告の上記主張は採用することができない。


4 結論

 以上によれば,原告主張に係る取消事由は理由がない。


 よって,原告の請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。』


 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照してください。