●平成20(行コ)10001 再審査請求控訴事件 特許権 行政訴訟

 本日は、『平成20(行コ)10001 再審査請求控訴事件 特許権 行政訴訟 平成20年08月26日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080827101904.pdf)について取上げます。


 本件は、控訴人が特許協力条約に基づき特許庁長官に対して国際出願をし,その後国際予備審査の請求をしたが,特許庁審査官が作成した特許性に関する国際予備審査報告には誤りがある旨主張して,再審査を求める訴えを提起し、不適法であるとして却下した原判決の取消を求め控訴し、棄却された事案です。


 つまり、知財高裁(第3部 裁判長裁判官 飯村敏明、裁判官 齊木教朗、裁判官 嶋末和秀)は、


『1 国際予備審査は,国際予備審査機関においてPCT国際出願に係る発明が新規性,進歩性及び産業上の利用可能性等を有するか否かについて,「予備的なかつ拘束力のない見解を示す」ものにすぎず(特許協力条約33条(1)項),直接国民の権利義務を形成し,又はその範囲を確定することが法により認められているものではないから,その再審査も法3条6項1号にいう「処分」には該当しない。


 また,国際予備審査報告に,何らかの法的効力があるわけではなく,出願人が後に権利を取得したい指定国に国内移行する際の判断資料になることがあり得るとしても(甲20),そのような効果はあくまでも事実上のものであるといえる。


 したがって,国際予備審査報告について再審査がされないことにより,法37条の2第1項所定の「重大な損害を生ずるおそれ」があるということもできない。


2 結論


 以上によれば,本件訴えは,法37条の2第1項所定の「一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれ」があるとはいえず,不適法な訴えとして却下すべきである。その他,控訴人は,当審において縷々主張するが,いずれも理由がない。


 よって,これと同旨の原判決は相当であり,本件控訴は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。』


 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照してください。