●平成19(ワ)32196不当利得返還請求事件「図形表示装置及び方法」

Nbenrishi2008-08-31

 本日も、『平成19(ワ)32196 不当利得返還請求事件 特許権 民事訴訟「図形表示装置及び方法」平成20年08月28日 東京地方裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080829092532.pdf)について取上げます。


 本件では、均等侵害の成否の判断についても参考になるかと思います。


 つまり、東京地裁(民事第47部 裁判長裁判官 阿部正幸、裁判官 平田直人、裁判官 柵木澄子)は、


4 争点(5)〔均等侵害の成否〕について

(1)前記3(4)のとおり,被告製品は,少なくとも,本件発明1につき構成要件1B及び1C,本件発明2につき構成要件2A3,2A4及び2Bのそれぞれ「読出順序データ」の要件を充足しないことが明らかである。


 原告は,本件発明の構成要件のうちの「読出順序データ」が限定解釈された(被告製品において,「1ピクセル毎に処理」していることにより,「読出データの個数が複数ピクセルに対応する隣接する2つであること」が非充足である)としても,均等侵害に当たり,「読出データの個数が複数ピクセルに対応する隣接する2つであること」は,本件発明の本質的部分ではなく,キャラクタ方式であるのに,「座標回転処理」を行い,回転後のピクセルデータを「ピクセル単位」で得て図形を回転させることが本質的部分である旨主張する。


 しかしながら,本件発明は,前記2(2)イ・ウのとおり,従来技術のマップとキャラクタジェネレータを用いる方式で図形の回転表示をすることに課題があったのに対し,前記2(2)オのとおり,本件明細書に記載された唯一の実施例において,この課題を解決したところに発明としての意義があるものである。


 そして,図形の回転を実現するために,「読出順序データ」として,「ナウ」のほかに「ネクスト」又は「バック」に相当する2つのキャラクタを対象として,必要なピクセルデータを取得し,任意の角度での回転表示を実現する技術が開示されていることは,前記2(3),3(1)のとおりであって,この「読出順序データ」を用いることが本件発明における核心の技術というべきである。


 そうすると,原告の均等侵害の主張は,被告製品の構成について,少なくとも,本件発明1の構成要件1C及び本件発明2の構成要件2Bにおける「読出順序データ」という本件発明の本質的な部分にかかわる要件を置換することを前提とするものといわざるを得ず,均等論の要件を充たさないものである。


(2)以上のとおりであるから,原告の主張する均等侵害については,その余につき検討するまでもなく,失当である。


5 結論

 したがって,原告の請求は,その余につき判断するまでもなく,理由がない。

 よって,主文のとおり判決する。』


 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照してください。