●平成20(ネ)10034 損害賠償請求控訴事件 その他 民事訴訟

 本日は、『平成20(ネ)10034 損害賠償請求控訴事件 その他 民事訴訟 平成20年07月16日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080717090956.pdf)について取り上げます。


 本件は、損害賠償請求事件の控訴事件で、本件控訴が棄却された事案です。


 本件の原審では、控訴人の本件訴えは,前訴における損害賠償請求と同一の不法行為に基づく損害賠償請求の残部を請求するものであり,前訴で認められなかった請求及び主張を蒸し返すものにほかならず,前訴の確定判決によって紛争が解決されたとの被控訴人の合理的期待に反し,被控訴人に更なる応訴の負担を強いるものということができるから,本件訴えは,信義則に照らして許されないものと解するのが相当であるとして,訴えを却下しました。


 そして、控訴審である知財高裁(第2部 裁判長裁判官 中野哲弘、裁判官 森義之、裁判官 澁谷勝海)も、


『1 当裁判所も,控訴人の本訴請求はいずれも理由がないと判断する。その理由は,原判決「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」記載のとおりであるから,これを引用する。


2 控訴人は,前訴では本件文詞を請求原因としていないと主張する。


 しかし,金銭債権の数量的一部請求訴訟で敗訴した原告が残部請求の訴訟を提起することは,特段の事情がない限り,信義則に反して許されない(最高裁平成10年6月12日第二小法廷判決・民集52巻4号1147頁)と解されるところ,証拠(乙2,9)及び弁論の全趣旨によれば,控訴人は,前訴において,控訴人部品図50枚のうちの1枚の控訴人の署名を切り取り,本件設計図に貼り付けて控訴人の署名があるとしたことについて,文書偽造を理由とする不法行為を主張して,その損害賠償金5万円及びこれに対する平成18年11月7日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の請求をしていたものと認められるから,控訴人は,前訴において,本件文詞中の控訴人の署名について文書偽造を理由とする不法行為を主張して損害賠償請求をしていたことは明らかである。


 そうすると,本訴は,前訴で認められなかった請求及び主張を蒸し返すものにほかならず,前訴の確定判決によって紛争が解決されたとの被控訴人の合理的期待に反し,被控訴人に更なる応訴の負担を強いるものということができるから,本件訴えは,信義則に照らして許されないものと解するのが相当である。


3 よって,原判決は相当であって,本件控訴は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 』


 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照して下さい。


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