●平成19(行ケ)10303 審決取消請求事件 商標権「iモード」

  本日は、『平成19(行ケ)10303 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟「iモード」平成20年01月31日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080201162338.pdf)について取り上げます。


 本件は、商標登録無効審判の棄却審決の取消しを求めた審決取消し訴訟で、その請求が棄却された事案です。


 本件では、4条1項7号の判断が参考になるかと思います。


 つまり、知財高裁(第3部 裁判長裁判官 飯村敏明、裁判官 大鷹一郎、裁判官 嶋末和秀)、


『1 審決の取消事由の有無

 別紙「原告の主張」によれば,原告は,審決には,本件商標の商標法4条1項7号該当性等の判断の誤りがあることなどを取消事由として主張しているものと解される。しかし,当裁判所は,以下のとおりの理由により,原告主張に係る取消事由はいずれも失当であると判断する。


(1) 商標法4条1項7号該当性について


 原告の主張は必ずしも明らかではないが,原告は,「iモード」の標章を使用して,対応端末「デジタル・ムーバーF501i HYPER」を発売したり,同対応端末の画面操作やインターネットを介してメールの交換等をさせたりする被告の行為が原告の有する本件各特許権を侵害することになるので,本件商標は,「他の法律によって,その使用等が禁止されている商標」,「一般に国際信義に反する商標」,「構成自体に問題がなくても,指定商品について使用することが社会公共の利益や一般的道徳観念に反することとなる商標」として,商標法4条1項7号に規定する「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当するから,本件商標登録には無効理由があると主張しているものと解される。


 しかし,原告の主張は,以下のとおり失当である。


 すなわち,商標が商標法4条1項7号に該当するかどうかは,特段の事情のない限り,当該商標の構成を基礎として判断されるべきものであり,指定商品又は指定役務についての当該商標の使用態様が他人の権利を侵害するか否かを含めて判断されるべきものではない(立体的形状の商標の使用が他人の物の発明に係る特許権や他人の意匠権に抵触する場合などにおいても,立体的形状自体が商標を構成するから,商標の構成のみによって判断されるべき場合の例外には該当しない。)。


 特に,商標法29条において,商標権者による登録商標の使用が,その使用の態様により出願日前の出願に係る他人の特許権等と抵触するときには,指定商品又は指定役務のうち抵触する部分についてその態様により登録商標の使用をすることができないと定められ,知的財産権相互の調整が図られていること等に照らすならば,指定商品又は指定役務についての商標の使用態様によって他人の特許権等を侵害することがあったとしても,すなわち,そのような使用がされたり,あるいはそのような使用がされる事態が想定される状況等があったとしても,そのことから直ちに当該商標が,「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当するものと判断すべきではないといえる。


 本件においてこれをみると,本件商標は,「iモード」を標準文字で表す構成からなる典型的な文字商標であって,本件商標の構成・内容から,他人の特許権等を侵害するものということはできない。そうすると,原告主張に係る本件商標の使用が原告の有する本件各特許権に抵触するという理由をもって,本件商標が「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当するということはできず,この点の原告の主張は失当である。 』


 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照してください。