●平成19(ワ)18360 損害賠償等請求事件 不正競争 民事訴訟

  本日は、『平成19(ワ)18360 損害賠償等請求事件 不正競争 民事訴訟 平成20年01月28日 東京地方裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080128181038.pdf)について取り上げます。


  本件は、被告らが共同して他人である原告の周知表示を無断で使用等して原告の営業と混同を生じさせたことが不正競争防止法2条1項1号の不正競争行為に該当し,これにより原告の営業上の利益が侵害され,かつ,その信用が毀損されたと主張して,同法4条,民法719条に基づき損害賠償を求め、その請求が棄却された事案です。


  本件では、不正競争防止法2条1項1号の商品等表示における周知の判断が参考になるかと思います。


 つまり、東京地裁(民事第29部 裁判長裁判官 清水節、裁判官 山田真紀、裁判官 國分隆文)は、


1 争点1(原告表示が周知な営業表示といえるか)について

(1) 上記前提となる事実等並びに証拠(甲5ないし8)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。


ア 原告は,本件譲渡行為当時,主に外食産業を中心として,株式公開などの企画立案,営業支援等の業務と併せて,その企業の株式譲渡の業務にも携わっていた。


イ 原告は,平成18年ころ,ビラ・デ・エステについても,上記の各業務を行っていたところ,同社は,本件冊子が作成された同年3月当時,青森県秋田県宮城県山形県新潟県,栃木県,茨城県,埼玉県,長野県,静岡県富山県,石川県,福井県滋賀県及び鳥取県に合計26の営業店舗を有しており,富山県に3店舗,埼玉県,福島県新潟県福井県,石川県及び鳥取県に各1店舗を出店する予定であった。また,当時,同社の営業店舗の立地開発については,大和ハウスグループが行うことになっていた。


(2) 不正競争防止法2条1項1号は,商品等表示が同法による保護を受けるためには,同表示が「需要者の間に広く認識されている」ことを要件としているところ,本件においては,上記(1)の認定事実を総合しても,ビラ・デ・エステが広い地域に営業を展開していることが推認されるのみであり,このことから,同社の営業支援等の業務を行っていた原告の用いる原告表示が,本件における需要者,すなわち,原告が不正競争行為と主張する本件譲渡行為の需要者である,株式の譲渡を受けようとする者の間において広く認識されているとまでは到底いえないし,他に原告表示が上記需要者の間に広く知られている営業表示であることを認めるに足りる証拠はない。


 したがって,原告表示が需要者の間において広く知られた営業表示であると認めることはできない。


2 そうすると,その他の点を論ずるまでもなく,原告の主張は理由がない。


第4 結論

 以上の次第で,原告の請求はいずれも理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。  』


 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照してください。