●平成19(行ケ)10027 審決取消請求事件「リソグラフィ装置を操作す

  本日は、『平成19(行ケ)10027 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟リソグラフィ装置を操作する方法,リソグラフィ装置,デバイス製造方法,およびそれによって製造されるデバイス」平成19年12月28日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20071228160827.pdf)について取り上げます。


 本件は、拒絶審決の取消しを求めた審決取消訴訟で、その請求が棄却された事案です。


 本件では、「(3) 審決の説示について」が参考になるかと思います。


 つまり、知財高裁(第3部 裁判長裁判官飯村敏明、裁判官大鷹一郎、裁判官嶋末和秀)は、


(3) 審決の説示について


 審決は,相違点3に係る容易想到性の判断について,「本願第1発明における『回折格子』は,本願明細書【0064】段落等を参照すると,散光器程度のものであって,散光器を用いた場合に比べ回折格子を用いたことによる特段の意義は認められないから,本願第1発明における『回折格子』は,引用例1に記載された発明の『散乱板』程度のものにすぎず,引用例1に記載された発明の『散乱板』に代えて『回折格子』を用いることに格別の意義はない。したがって,相違点3は,引用例1に記載された発明に基づいて当業者が容易に想到できたところである。」(審決書9頁18行〜26行)とのみ説示する。


 しかし,審決の上記説示は,以下のとおりの理由から,特許法29条2項に該当すると判断した論理過程を十分に記載したものとはいえず,適切な説示とはいえない。


 審決書においては,本願第1発明が同項に該当することを論理付けるために,まず,本願第1発明と本願の優先日前に公知な特定の発明(引用発明)とが相違する構成部分を明らかにした上で,引用発明と,他の公知な発明又は周知技術等から,当業者において,本願第1発明と相違する引用発明の構成部分を,本願第1発明の構成とする(同発明の構成に換える)ことが容易であるか否かを吟味し,容易であることを論証する(説示する)必要があるといえる。


 本件における論証の対象は,「引用発明における『散乱板』を,本願第1発明における『回折格子』とすることが容易であるか否か」であるところ,審決の上記説示を見ると,単に「本願第1発明における『回折格子』は,引用例1に記載された発明の『散乱板』程度のものにすぎず」と述べるだけであって,具体的な理由を何ら記載していない。


 したがって,審決の説示内容には不備があるが,前記(1)及び(2)に示した内容に照らして,審決の結論を維持するのが相当であり,取消事由には当たらないものと判断した。  』


 と説示されました。


 本件も、一昨日取り上げた『平成19(行ケ)10209等 審決取消請求事件 意匠権 行政訴訟「包装用容器」平成19年12月26日 知的財産高等裁判所 』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20071226160736.pdf)(※裁判長は、本件と同じ飯村敏明裁判官)と同様に、審決書の記載等について影響を与えるではと思います。


 詳細は、本判決文を参照してください。


 追伸1;<新に出された知財判決>

●『平成18(ワ)18283 損害賠償等請求事件 不正競争 民事訴訟生ゴミ処理機に関する虚偽事実の告知・流布」平成19年12月26日 東京地方裁判所』(認容判決)http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20071227142935.pdf
●『平成17(ワ)17909等 特許権移転登録抹消登録請求事件 特許権 民事訴訟「ナビゲーション装置及び方法」平成19年12月26日 東京地方裁判所』(棄却判決)http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20071227142027.pdf
●『平成18(ワ)7746 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟不定形耐火物の吹付け施工方法」平成19年12月26日 東京地方裁判所』(棄却判決)http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20071227141245.pdf
●『平成19(ネ)733 損害賠償請求控訴事件 不正競争 民事訴訟「営業秘密」平成19年12月20日 大阪高等裁判所』(一部認容判決)http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20071227144436.pdf


 追伸2;<気になった記事>

●『米コダックと松下・ビクターが和解、デジカメ特許で』http://www.nikkei.co.jp/news/main/20071229AT2M2900229122007.html
●『ITC、トレンドマイクロの訴えでウイルス対策製品の特許侵害調査を開始 (ITC)』http://www.ipnext.jp/news/index.php?id=2480
●『ボーズのヘッドフォン特許の侵害をめぐりITCが調査を開始(ITC)』http://www.ipnext.jp/news/index.php?id=2482
●『日亜化学がソウル半導体を提訴、名誉棄損を主張(YONHAP NEWS) 』http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071229-00000008-yonh-kr
●『良品計画、中国での商標問題決着』http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/soumu/index.cfm?i=2007122800245b3