●平成18(ワ)8621商標権侵害差止等請求事件「マイクロクロス」(3)

  本日も、『平成18(ワ)8621 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟「マイクロクロス」平成19年12月13日 大阪地方裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20071213154152.pdf)について取り上げます。


  本日は、争点(2)の「(差止・廃棄請求の可否)について」について取り上げます。


 つまり、大阪地裁(第26民事部 裁判長裁判官山田知司 裁判官高松宏之 裁判官村上誠子)は、


3 争点(2)(差止・廃棄請求の可否)について

(1) 後掲証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。


ア 被告は,平成16年10月から平成18年6月の間に7回にわたり,被告商品を合計12万2720枚輸入し(乙31及び35の各1ないし7),平成18年7月までの間に1枚入りの被告商品を6万4246個,2枚入りの被告商品を2496個,3枚入りの被告商品を1万1276個の合計7万8018個(枚数にすると10万3066枚)を販売した(乙30の1ないし4)。


イ 被告は,原告らから,被告商品の販売が本件商標権を侵害する旨の通知を受けたことから,被告商品の商品名を「極細繊維のクロス」に変更することとし,平成18年8月初旬にその商品名シールを発注して納品を受け(乙37ないし39),1枚入りの商品については従前の被告商品のパッケージの商品名部分のみを同シールに貼り替え,3枚入りの商品については透明のパッケージにシールを貼付して(乙33の各号),同年8月及び9月に1枚入りの商品を8600個,3枚入りの商品を2890個の合計1万1490個(枚数にすると1万7270枚)販売した(乙32の各号)。


 被告は,被告商品の商品名シールを貼り替えるに当たり,在庫品のシールを一斉に貼り替えることはしていなかった。そのため,同年9月22日に大阪府天満警察署が商標法違反の容疑で被告に対して行った捜索差押えにおいては,シールの貼替えがされていない被告商品を,シールの貼替えがされた商品とともに合計17箱押収した(乙36)。


ウ 平成19年5月12日の時点では,ケンコーコムのホームページでは,被告商品(「マイクロクロス3色組」)は,「当店では現在お取り扱いしておりません」と表示されている(乙27)。


(2) 以上によれば,被告は,原告らから商標権侵害の通知を受けると直ちに商品名の変更を行い,そのための商品名シールまで新たに作成して貼り替えて販売したのであるから,今後,被告商品を「マイクロクロス」の標章を付したままで販売するおそれは低いといえる。


 しかし,上記認定事実からすると,被告は現在もなお商品名シールの貼り替えが未了の被告商品の在庫を有しているのであり,しかも被告は本件登録商標の商標登録の有効性を争っているのであるから,被告が「マイクロクロス」標章を付したままの被告商品を今後販売するおそれが全くないとはいえない。


 したがって,被告に対して「マイクロクロス」標章を付した被告商品の販売の差止めを求める原告ワンズハートの請求は理由がある。他方,原告マイクロクロス社は,本件商標権の商標権者でも専用使用権者でもないから,その有する使用権に基づく差止請求をすることはできない。


(3) 原告らは,「マイクロクロス」標章を付した被告商品等の廃棄も請求している。


 しかし,被告が被告商品を「マイクロクロス」標章を付したままで販売するおそれが低いことは前記のとおりであるし,被告商品の在庫品は,商品名シールを貼り替えることで容易に本件商標権2の非侵害品となるのであるから,「マイクロクロス」標章を付した被告商品等の廃棄を求める原告らの請求は必要性があるとはいえず,認められない。  』


 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照してください。