●平成19(行ケ)10082 審決取消請求事件 特許権「矯正視力測定器」

  本日は、『平成19(行ケ)10082 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟「矯正視力測定器」平成19年11月07日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20071109112702.pdf)について取り上げます。


 本件は、拒絶審決の取消を求めたもので、その請求が棄却された事案です。


 本件では、進歩性の有無の判断の仕方が参考になるかと思います。


 つまり、知財高裁(第1部 裁判長裁判官 塚原朋一)は、

『(2) 原告は,審決が,一方で,刊行物1について,「複数の球面レンズをレンズの度の強さの順に並べ,それぞれのレンズにピンホールを重ねることができるようにした自覚式検眼装置。」と認定しているのに,他方で,「球面レンズなど」という用語を用いて,「円柱レンズ」以外のものを含めているから,論理矛盾を犯している旨主張する。


 しかし,一般に,進歩性の有無を判断するに当たっては,同一又は近接する技術分野における従来技術中に,当該発明の構成要素に係る技術が存在するかどうかを検討し,当該発明の構成要素が複数の技術として存在する場合には,当業者が,上記複数の技術を組み合わせて当該発明の構成に容易に想到し得るかどうかを検討するのが,審判,特許異議申立てや取消訴訟事件において行われる常套の検討方法であり,かつ,合理性の認められるところである。


 これを本件についてみると,本願発明の構成との対比において,刊行物1には,「複数の球面レンズをレンズの度の強さの順に並べ,それぞれのレンズにピンホールを重ねることができるようにした自覚式検眼装置。」の発明(刊行物1発明)が記載されているとし,「矯正視力測定器」という相違点に係る本願発明の構成に想到することが容易か否かの判断を導くに当たって,ピンホール効果を利用することが技術常識である旨を認定しているのであるから,論理矛盾を犯しているとはいえない。 』


 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照してください。