●平成19(行ケ)10150 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟

  本日は、『平成19(行ケ)10150 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成19年10月30日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20071031115019.pdf)について取り上げます。


  本件は、不使用取消審判の取消し審決の取消求め、その請求が棄却された事案です。


  本件では、原告の登録商標と使用商標との同一性の判断が参考になるかと思います。


  つまり、知財高裁(第2部 裁判長裁判官中野哲弘)は、


『3 本件商標「   」と原告使用商標「Orihara & Orix」との社会通念上の同一性の有無(取消事由2)について


(1)法50条1項は,登録商標と使用商標の同一性の有無に関し特別の規定を設け,(i)書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標,(ii)平仮名,片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標,(iii)外観において同視される図形からなる商標,(iv)その他当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標,であれば両商標は同一としている。


 ところで本件においては, 前記のとおり登録商標たる本件商標は「  」であり,使用商標は「Orihara & Orix」であるから,上記(i)(書体の変更)及び(iii)(外観同視図形)に該当しないことは明らかであり,また(ii)(片仮名とローマ字等)については,本件商標が片仮名で原告使用商標がローマ字であるものの,後者が「Orihara& Orix」であって両者が同一の称呼及び観念を生ずるものではないから,本件においては,(iv)の「社会通念上同一」と認められるかどうかのみが問題となり得る。


(2) ところで原告使用商標は「Orihara & Orix」というよう,に「Orihara」と「Orix」を「Orihara」の直後と, 「Orix」の直前とを少し空けた上で,「&」で結んだものであるが,ここで「&」は「and」と同義であって語を対等に結ぶ働きを有する記号であり,しかも「Orihara」の部分は,固有名詞を連想させるため,「Orix」の部分と比べても ,その識別力に特段の強弱の差はない(むしろ,原告の商号が株式会社折原製作所であることを考慮すると,特定の観念を生じさせることのない後段の「Orix」よりも前段の「Orihara」の方が識別力が強いということも可能である)というべきである。


 また,原告使用商標を構成する「Orihara & Orix」の文字全体をみると「Orihara」の直後と「Orix」の直前との間隔の存在にかかわらず,同一の書体をもって外観上まとまりよく一体的に表されているということができ,「オリハラアンドオリックス」の称呼も格別冗長ではなく,よどみなく一連に称呼し得るものである。


 そうすると,「Orix」を単独で使用するということをせずに ,「Or ihara & Orix」として使用した以上,原告使用商標から「Orihara &」の部分を分離して観察することはできないというほかないから,「オリックス」の称呼を生ずる本件商標と「オリハラアンドオリックス」の称呼を生ずる原告使用商標とは,称呼が同一のものとは認められず,その外観及び観念においても同一のものとは認められない。したがって,原告使用商標は,本件商標と社会通念上同一の商標ということはできないというべきである。


3 結論


  以上によれば,原告主張の取消事由1は理由があるが取消事由2は理由がないことになるから,本件商標登録は不使用を理由に取り消すべきであるとした審決の判断は,結論において相当である。


  よって,原告の請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。 』


 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照してください。