●平成19(ワ)12863 商号使用差止等請求事件 不正競争「エーザイ」

本日は、『平成19(ワ)12863 商号使用差止等請求事件 不正競争 民事訴訟エーザイ」平成19年09月26日 東京地方裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070927112330.pdf)について取り上げます。


 本件は、不正競争防止法により、被告表示等の使用の差止め,及び被告商号の抹消登記手続等を求めた事案で、その一部が請求が認容された事案です。


 つまり、東京地裁は、

『1 原告の主張(1)ないし(5)は,被告において明らかに争わないから自白したものとみなす。


2 被告は,既に解散しており,現在は,被告表示を使用して営業活動を行っていない旨主張するので,本件において,原告の営業上の利益の侵害ないしそのおそれがあるかについて検討する。


(1) 証拠(甲12,13,15,16ないし27。枝番も含む。)及び弁論の全趣旨によれば,以下の各事実が認められ,これに反する証拠はない。


ア 被告の営業形態


 被告は,平成16年7月20日に設立され,赤虫等の観賞魚用の餌を,被告表示「エーザイ」を付して販売している。また,被告は,「E−ZAI」の店名で楽天市場に出店しており,同サイトにおいては,5種類の商品を出品し,同商品をインターネットを通じて販売している。さらに,被告は,被告ドメイン名をドメイン名とした被告サイトを開設しているが,同サイトには,「商品などに関するお問い合わせは下記まで御願い致します。」との表示及び同表示の下に被告の住所と電話番号の表示がある。


イ 本件訴訟に至る経緯等


 原告は,「エーザイ」の表示を商号に使用している被告の存在を知り,平成18年8月,被告に対して,社名の変更を求め,以後,原告と被告との間で,社名変更のための交渉がされるようになった。被告は,この交渉の中で,平成19年2月20日,原告からの社名変更時期の報告の要求に対する回答として,在庫品の販売終了まで社名の変更の猶予を嘆願する書面を原告に送付した。


 原告は,被告との交渉の結果,被告は,任意には商号変更,被告表示及び被告ドメイン名の使用の中止をしないものと考え,平成19年5月,本件訴訟を提起した。


 被告は,平成19年6月20日,臨時株主総会を開催し,同総会において被告を解散する決議をし,同月21日付けで解散の登記がされ,同月28日付けの本訴答弁書において,前記「被告の認否,反論」(第2,2(2))記載のとおり主張した。


ところが,平成19年7月5日ころ,原告代理人中村勝彦の妻である乙が,被告サイト及び楽天市場に被告の電話番号として表示してある電話番号に電話をかけ,商品についての問い合わせをしたところ,被告従業員と思われる相手方は,乙に対し,販売している商品の説明をした。さらに,同月11日,乙が,同様に,電話により,上記の説明にあった商品である「キューブタイプ赤虫」を注文すると,相手方は,これを承諾し,同月13日,上記商品が乙の自宅に届き,同商品の包装には「有限会社エーザイ」,「エーザイのレッドワーム」及び「E−ZAI」の表記がなされていた。


 なお,被告ドメイン名登録の有効期限は,本件提訴時点では,平成19年7月16日であったが,その後,平成20年7月16日まで延長されている。


(2) 上記(1)で認定した事実からすれば,被告は,既に解散し,現在は,法律上清算中の会社ではあるが,現在も,被告表示を付して被告の商品の在庫品を販売しており,また,被告サイトを開設していることから,今後も,上記の販売及び被告ドメイン名の使用を継続していくことは明らかである。したがって,原告の営業上の利益は侵害されているものと認められる。


 そうすると,原告の請求のうち,被告表示及び被告ドメイン名の使用の差止め並びに被告商号の抹消登記手続の請求は理由がある。


 しかしながら,被告ドメイン名の登録抹消申請手続の請求については,被告ドメイン名の登録名義人が甲であって被告ではない以上,被告に対して上記請求をすることはできない。


第4 結論

  以上の次第で,本訴請求は,主文第1項ないし第4項の限度で理由があるからこれを認容し,その余の請求は理由がないから棄却し,主文第4項については,相当でないので仮執行宣言を付さないこととして,主文のとおり判決する。 』


 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照して下さい。


追伸1;<新たに出された知財判決>


●『平成18(行ケ)10511 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟「デジタルコンテンツの配信方法配信装置再生装置コンピュータプログラム」平成19年09月27日 知的財産高等裁判所』(棄却判決)http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070928111634.pdf
●『平成17(ネ)10085 特許権侵害差止等請求控訴事件 特許権 民事訴訟「トリガ生成回路及び波形表示装置」平成19年09月26日 知的財産高等裁判所』(棄却判決)http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070927141954.pdf
●『平成19(行ケ)10111 審判請求書却下決定取消請求事件 その他・行政訴訟「色画像形成・補正方法及びその装置」平成19年09月25日 知的財産高等裁判所』(棄却判決)http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070927161703.pdf
●『平成18(行ケ)10513 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟「農作物或いはその苗の生産方法」平成19年09月25日 知的財産高等裁判所』(棄却判決)http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070927160736.pdf
●『平成17(ワ)1599 損害賠償請求事件 特許権 民事訴訟「キー変換式ピンタンブラー錠」平成19年09月19日 東京地方裁判所』(認容判決)http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070927171617.pdf