●『JRのスイカ(Suica)カードの特許出願』(4)

 ほぼ、1年ほど前の7/16の日記(http://d.hatena.ne.jp/Nbenrishi/20060714)等で取上げていたソニー鉄道総合技術研究所によって共同出願されたスイカの基本特許出願(特願平5−343517号)が2度の審決取消訴訟に勝って、3度目の審判でようやく特許になり、4/6に特許第3938407号として登録されていました。


 なぜ、ここまでもつれたかは、不明ですが、今や電子マネーとして最も普及しているスイカの基本特許特許が成立したことに、一利用者として、また一知財マンとして安心しました。


 なお、特許された特許請求の範囲は、以下の通りです。


『【請求項1】
 改札口を通過する使用者が所持し、改札口に配置されたカード識別装置と通信する情報記憶カードであって、
 前記カード識別装置と無線で情報を授受する送受信手段と、
前記情報記憶カードが適正であることの判定に使用される識別コードが書き込まれており、書き込まれている情報の読み出しのみが行われる第1の領域と、前記送受信手段を介して前記カード識別装置より書き込みが指令された情報の書き込みと、
 読み出しが指令された情報の読み出しが行われる第2の領域と、前記情報記憶カードを使用した履歴である使用履歴を記憶する第3の領域とから構成される記憶手段と、
 前記カード識別装置から前記情報記憶カードに書き込みが指令された情報を前記第2の領域に書き込むこと、前記第2の領域に書き込まれる情報の所定の部分を抽出した情報を、前記使用履歴として、前記第3の領域に書き込むこと、および前記記憶手段に書き込まれている情報を読み出すことを制御する制御手段とを備え、
 前記第2の領域は、前記使用者が改札口を通過するときに、前記使用者が改札口を前に通過したときに書き込まれた残高を含む情報を前記カード識別装置が読み出して金額を減算する処理をすることにより得られた新たな残高を含む情報を、前記使用者が後に改札口を通過するときに前記カード識別装置が読み出すために上書きで記憶し、
 前記第3の領域は、複数であるN個の単位領域に区分されており、前記N個の単位領域の各々に割り当てられたアドレスが、前記制御手段により無限ループ状に連結するように制御されて、前記第2の領域に上書きで記憶される情報の所定の部分を抽出した情報を、前記使用履歴として、前記単位領域に無限ループ状に記憶する
 ことを特徴とする情報記憶カード。

【請求項2】
 改札口に配置されたカード識別装置が無線で情報を授受することによって、改札口を通過する使用者が所持する情報記憶カードを処理する方法であって、
 前記情報記憶カードは、前記情報記憶カードが適正であることの判定に使用される識別コードが書き込まれており、書き込まれている情報の読み出しのみが行われる読出専用領域と、前記カード識別装置より書き込みが指令された情報の書き込みと、読み出しが指令された情報の読み出しが行われる書込読出領域と、前記情報記憶カードを使用した履歴である使用履歴を記憶する使用履歴記憶領域とから構成される記憶手段を備え、
 前記使用者が改札口を通過するとき、前記カード識別装置が、前記読出専用領域に記憶されている前記識別コードの読み取りを、前記情報記憶カードに指令する第1の工程と、
 前記カード識別装置が、読み取られた前記識別コードが適正かどうかを判定する第2の工程と、
 前記使用者が改札口を通過するとき、前記カード識別装置が、前記書込読出領域に既に記憶されている残高を含む情報の読み出しを、前記情報記憶カードに指令する第3の工程と、
 前記カード識別装置が、前記書込読出領域から読み出された情報に含まれる残高から金額を減算する処理をすることにより得られた新たな残高を含む情報を前記書込読出領域に上書きで記憶させることと、前記書込読出領域に上書きで記憶される情報の所定の部分を抽出した情報を、前記使用履歴として、前記使用履歴記憶領域に無限ループ状に記憶させることとを、前記情報記憶カードに指令する第4の工程と
 を有することを特徴とする情報記憶カードの処理方法。』


詳細は、IPDL(http://www.ipdl.inpit.go.jp/homepg.ipdl)等で本件特許公報を参照して下さい。