●平成3年04月23日 最高裁判所第三小法廷

  本日は、『平成3年04月23日 最高裁判所第三小法廷』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/8D886D8FB0D1CDB749256A8500311EA4.pdf)について取上げます。


 本件は、商標登録の不使用取消審判の認容審決の取消訴訟において登録商標の使用の事実の立証は、事実審の口頭弁論終結に至るまで許されると判示した最高裁判決です。


 つまり、最高裁は、

『                 主  文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         
                  理  由

 上告代理人江口俊夫の上告理由について

 商標登録の不便用取消審判で審理の対象となるのは、その審判請求の登録前三年以内における登録商標の使用の事実の存否であるが、その審決取消訴訟においては、右事実の立証は事実審の口頭弁論終結時に至るまで許されるものと解するのが相当である。商標法五〇条二項本文は、商標登録の不便用取消審判の請求があった場合において、被請求人である商標権者が登録商標の使用の事実を証明しなければ、商標登録は取消しを免れない旨規定しているが、これは、登録商標の使用の事実をもって商標登録の取消しを免れるための要件とし、その存否の判断資料の収集につき商標権者にも責任の一端を分担させ、もって右審判における審判官の職権による証拠調べの負担を軽減させたものであり、商標権者が審決時において右使用の事実を証明したことをもって、右取消しを免れるための要件としたものではないと解されるから、右条項の規定をもってしても、前記判断を左右するものではない。


 原審の適法に確定した事実によれば、本件では、被上告人が有する本件商標権について上告人が商標法五〇条一項に基づく不使用取消審判を請求したのに対し、被上告人が審判において本件登録商標の使用の事実を何ら立証しなかったことから、請求どおり本件商標登録を取り消す旨の審決があったというのであり、被上告人がこの審決の取消しを求めて本訴を提起したところ、原審は、右使用の事実が証明されたとして、審決を取り消したものである。そして、前記判断に照らしてみれば、所論の点に関する原審の判断は正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。所論引用の判例も、右判断と抵触するものではない。論旨は、採用することができない。

 よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官坂上義夫の反対意見があるほか、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 』


 と判示されました。


 なお、本判決文には、反対意見も掲載されています。


 詳細は、本判決文を参照して下さい。