●平成19(行ケ)10036 審決取消請求事件 意匠権「三段熨斗付き紐丸瓦

 本日は、『平成19(行ケ)10036 審決取消請求事件 意匠権 行政訴訟「三段熨斗付き紐丸冠瓦」平成19年06月14日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070614145414.pdf)について取上げます。


 本件は、意匠法3条1項3号の拒絶審決の取消を求めた訴訟で、その請求が棄却された事案です。


 知材高裁における意匠法3条1項3号の意匠の類比の判断が参考になるかと思います。


 つまり、知材高裁(第4部 塚原朋一 裁判長)は、意匠の類否判断について、

『(1) 本願意匠と引用意匠とは,審決が認定するとおり,共通点(A)〜(C)において共通するものであり,差異点(ア)〜(エ)等において差異があるものである。
 ところで,意匠の類否を判断するに当たっては,意匠を全体として観察することを要するが,そのためには,両意匠の基本的構成態様及び各部の具体的態様のそれぞれにおいて,形態上の共通点及び差異点を抽出した上,それらを,視覚的効果,使用態様,公知意匠にない新規な創作であるか否か等の観点から検討し,共通点が及ぼす美感の共通性と差異点に基づく美感の個別性とを比較考量し,総合的,全体的に類否を判断することが相当である。  』

 と述べております。


 本件と同日に出された『平成19(行ケ)10066 審決取消請求事件 意匠権 行政訴訟「建築用板材」 平成19年06月14日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070614152222.pdf)でも同様に述べてられています。


 よって、両件とも、公知意匠にない新規な創作部分の存否等を参酌して意匠の類比を判断しており、この点においては、多少表現は異なるものの、以前、取上げた『平成18(行ケ)10084 謝罪広告等請求控訴事件 意匠権 民事訴訟「ゴルフ用ボールマーカー」平成19年03月27日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070328112638.pdf)等において判示された修正混同説(創作的混同説)の立場、すなわち、


 「意匠の類否を判断するに当たっては,意匠を全体として観察することを要するが,この場合,意匠に係る物品の性質,用途,使用態様,さらには公知意匠にない新規な創作部分の存否等を参酌して,取引者・需要者の注意を最も惹きやすい部分を意匠の要部として把握し,登録意匠と相手方意匠が要部において構成態様を共通にするか否かを中心に観察して,両意匠が全体として美感を共通にするか否かを判断すべきである。」、


 と同じではないかと思います。


 なお、修正混同説(創作的混同説)については、今年の3/30の日記(http://d.hatena.ne.jp/Nbenrishi/20070330)等に紹介しています。