●平成14年改正前の特許法101条2号の具体例

  平成14年改正前の特許法101条2号(方法発明の間接侵害)の具体例が気になり、特許法概説や、青本弁理士試験の際に使用した代々木塾の論文サブノートを見ると、2つの具体例、すなわち、


(1) DDTを殺虫剤として使用する方法の発明に特許されている場合に、DDTを行として製造する行為。ただし、DDTに殺虫剤以外の用度が用途があれば、間接侵害は成立しない。


(2) DDTの生産方法に特許がされている場合に、その生産方法にのみ使用する生産装置の製造。


 と記載されていました。


 ちなみに、(1)については、特許法概説、青本、代々木塾の論文サブノートに記載されていますが、(2)についは、代々木塾の論文サブノートには記載されていましたが、特許法概説および青本には記載されていないと思います。


一方、一昨日も紹介した通り、知財高裁大合議事件である「一太郎事件」(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/4AC9E8ED0D080C574925710E002B12CE.pdf)や、「インクカートリッジ事件」(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/3F833955B41D23F64925710700290024.pdf)からすると、方法特許発明の間接侵害の及ぶ範囲として、知財高裁は、方法発明の間接侵害の効力が及ぶ範囲として、あくまで単純方法発明や製造方法発明自体を使用する装置や製造装置、その製造方法発明の実施に必要な原材料等を保護しているものと考えているようです。


 上記(2)の製造装置の例は、現在の知財高裁の考える方法特許発明の間接侵害の及ぶ範囲と一致していますが、上記(1)のDDTの例は、いかがでしょうか?

 
 知財高裁は、「インクカートリッジ事件」にて、製造方法発明の場合、その製造方法発明の実施に必要な原材料等も間接侵害の対象に含まれると判示し、「原材料等」として含みを持たせていますが、その「等」の適用範囲が気になります。


 もっとも、当たり前ですが、我々、特許実務者(弁理士)は、常に他社を文理侵害で抑えることを考えるべきであり、権利範囲の拡張的例外である均等論や間接侵害に期待してはいけないですね。



 追伸1;<新たに出された知財判決>

●『平成18(行ケ)10420 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟「自動最適化洗剤制御装置」平成19年05月10日 知的財産高等裁判所
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070510161445.pdf


 追伸2;<気になった記事>

●『Samsung社、2つの特許侵害でルネサスを提訴』http://www.ednjapan.com/content/l_news/2007/05/l_news070510_0101.html
●『Samsung、特許侵害でルネサステクノロジを提訴』http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0705/10/news052.html
●『HD DVD共同ライセンス策定へ関連特許を募集=米MPEG』http://home.businesswire.com/portal/site/google/index.jsp?ndmViewId=news_view&newsId=20070509005873&newsLang=ja
●『MPEG LA Announces Effort to Facilitate HD DVD Patent License Call for Essential Intellectual Property is First Step』
http://www.mpegla.com/news/n_07-05-09_pr.pdf
●『ITC、台湾社による特許侵害裁定=米フィリップス・ルミレッズ〔BW〕』http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070510-00000127-jij-biz
●『特許電子図書館における審査書類情報照会サービス拡充のお知らせ』(特許庁)http://www.jpo.go.jp/torikumi/hiroba/service_kakuzyu.htm
 ・・・審査書類情報照会(http://www.ipdl.inpit.go.jp/Tokujitu/pfwj.ipdl?N0000=118)から紹介できます。