●平成18(行ケ)10514 審決取消請求事件 特許権 家ダニ駆除沸湯容器

  本日は、『平成18(行ケ)10514 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟「家ダニ駆除沸湯容器」平成19年02月28日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070301104646.pdf)について紹介します。


 本件は、再審の審決の取消を求めた訴訟で、請求が棄却された事案です。


 まず、再審の棄却審決の理由は、

『別紙審決書の写しのとおりである。要するに,本件審判の請求は,前審決が確定していないにもかかわらず,前審決の再審を求めるものであり,「確定審決」に対して請求されたものではないから,不適法であって,その補正をすることができない,仮に再審の請求が「確定審決」に対して請求されたものであるとしても,原告の主張内容は,本来,特許法178条1項の規定に基づいて,前審決に対する取消しの訴えを提起して主張すべきものであって,再審の請求に基づいて主張することは許されない,とするものである。』

であります。


 そして、知財高裁(第3部 三村量一裁判長裁判官)は、


『1 原告の主張する取消事由について

 原告の主張する取消事由は,前審決がした認定判断を非難するものであり,前審決に対する取消しの訴えを提起して主張すべき事由であって,本件審決の取消事由とはならないものである。


2 本件再審請求の適法性について

 前記第2の1のとおり,本件審判請求がされたのは平成18年2月20日であるところ,前審決の謄本が原告に送達されたのは同月12日であり,本件審判請求の時点では,前審決は確定していない。しかし,本件審決がされた同年10月16日の時点では,前審決は確定していたものである。


 特許法171条1項によれば,再審の請求が「確定審決に対して」されたものでなければ,不適法であるが,同法135条は,「不適法な審判の請求であって,その補正をすることができないものについては,…(中略)…審決をもってこれを却下することができる」と定めているところ,本件再審請求の時点で前審決が確定していなくても,本件審決の時点で前審決が確定していれば,本件再審請求の瑕疵は治癒されたものというべきであるから,上記瑕疵を理由として本件再審請求を却下することはできないと解するのが相当である。


 しかしながら,本件再審請求書(乙第3号証)の記載をみるに,同請求書において,特許法171条2項が準用する民事訴訟法338条1項及び2項並びに339条所定の事由を,原告が主張しているとは認められない。したがって,上記の瑕疵が治癒されたとしても,再審事由の主張のない本件再審請求は,いずれにしても不適法というべきであるから,本件審決の判断には,結論において誤りはない。


 3 結論

 以上に検討したところによれば,原告の主張する取消事由には理由がなく,本件審決を取り消すべきその他の誤りも認められない。


 よって,原告の請求は理由がないから棄却し,訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。  』

と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照して下さい。


追伸1;<新たに出された知財判決>

●『平成18(行ケ)10370 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟「液晶表示モジュール固定方法及び装置」 平成19年03月15日 知的財産高等裁判所http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070316100124.pdf


追伸2;<気になった記事>

●『QUALCOMMとNortel,CDMAGSM関連特許のクロス・ライセンス契約を締結』http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20070316/265413/?ST=ittrend
●『QUALCOMMとNortel,CDMAGSM関連特許のクロス・ライセンス契約を締結 』http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20070316/265413/
●『QUALCOMM and Nortel Sign Cross-License Agreement』http://www.qualcomm.com/press/releases/2007/070315_nortel_sign_cross.html
●『「もうクロスライセンスだけではやっていけない日本メーカー」イタリアの知財管理会社が日本市場へ進出』http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20070316/129056/
●『放送と通信の融合(2)同時再送信で実演家の許諾が不要となる条件』http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20070308/264310/
●『米バイオクエートを特許侵害で提訴=米ポール〔BW〕』http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070316-00000091-jij-biz
●『ブラザー、米国で早期審査制度による第1号特許を取得』http://news.braina.com/2007/0317/enter_20070317_001____.html
●『ブラザー、米特許商標庁の新しい早期審査制度による第1号特許を取得』http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20345359,00.htm
●『実演家の視点で私的録音補償金制度を議論、メーカー負担を望む声
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/event/2007/03/16/15119.html
●『賠償金10億ドルを求める Viacom著作権侵害訴訟に同業者から異論』http://japan.internet.com/wmnews/20070316/11.html
●『中国企業は米国の技術を盗んではいない=外交部 』http://www.xinhua.jp/newsdetails.aspx?newsid=P100007647&cate_id=310
●『商標の国際登録出願件数、世界第8位に』http://www.xinhua.jp/newsdetails.aspx?newsid=P100007642&cate_id=510
●『USPTO、ピンコス副長官の3 月末の退官を発表』
http://www.jetro.go.jp/biz/world/n_america/us/ip/news/pdf/070315.pdf
●『平成18年法律改正(平成18年法律第55号)解説書』http://www.jpo.go.jp/shiryou/hourei/kakokai/tokkyo_kaisei18_55.htm
●『産業財産権法(工業所有権法)の解説【平成6年法〜平成18年法】』http://www.jpo.go.jp/shiryou/hourei/kakokai/sangyou_zaisanhou.htm