●平成17(ワ)19162 特許権侵害差止請求事件 セフジニルA型結晶

  本日は、『平成17(ワ)19162 特許権侵害差止請求事件 特許権 民事訴訟「セフジニルA型結晶」平成19年03月13日 東京地方裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070314120031.pdf)について紹介します。


 本件は、特許権者である原告が,被告に対し,特許法100条に基づき,被告製剤の製造及び販売の差止め並びに廃棄を求めた事案で、その請求が認容された事案です。


 原告がアステラス製薬であり、被告が大洋薬品である点からして、『後発薬の製造販売差し止め命じる 東京地裁』(http://www.asahi.com/national/update/0313/TKY200703130313.html)や、『ジェネリックが特許侵害 大洋薬品の製造差し止める』(http://www.tokyo-np.co.jp/flash/2007031390181541.html)、『ジェネリック薬品の結晶特許侵害認め製造販売差止め、東京地裁』(http://news.braina.com/2007/0314/judge_20070314_001____.html)、『ジェネリック特許侵害 大洋薬品の製造差し止める 』(http://www.sankei.co.jp/shakai/jiken/070313/jkn070313010.htm)等の記事に掲載された差止め請求事件のようです。


 本件では、争点は、
『(1) 被告製剤が本件特許発明の技術的範囲に属するか否か
(2) 本件特許が新規性を欠く発明に対してされたもので無効にされるべきか否か』

の2点ありました。


 そして、東京地裁は、争点(1)の(技術的範囲への属否)については、被告製剤が技術的範囲に属すると認め、争点(2)の被告による特許無効抗弁(特許法第104条の3)については認めず、原告の請求を認容した次第です。



 つまり、東京地裁(民事第47部 高部眞規子裁判長裁判官)は、本件特許が新規性を欠く発明に対してされたもので無効にされるべきか否かの争点(2) に関し、


『  ・・・ 

オ 小括

 前記エのとおり,被告側の追試によっては引用実施例16の実験工程を忠実に再現してもセフジニルのA型結晶を得ることはできず,かえって原告側の追試によれば,セフジニルの無晶形のみが得られることが示されたものである。


 よって,本件特許権の優先権主張日当時の技術常識を参酌すると,当業者において上記実施例の記載を追試してもセフジニルのA型結晶を製造することはできず,したがって,上記実施例においては,当業者において容易に実施し得る程度にセフジニルのA型結晶の製造方法が開示されているとはいえない。


 そうすると,本件特許発明は,その優先権主張日前に頒布された刊行物中の引用実施例16の記載内容から容易に実施することができるとはいえず,そのことを理由とする新規性欠如の主張は,理由がない。


(4) まとめ

 以上のとおり,引用実施例14及び16のセフジニルがA型結晶のものであるとはいえないし,引用実施例16の記載内容を当業者において追試すると同A型結晶を得ることができるともいえないから,被告の新規性欠如を理由とする本件特許の無効主張はいずれも理由がない。


 よって,本件特許は特許無効審判により無効にされるべきものとは認められない。以上の次第で,被告製剤は本件特許発明の技術的範囲に属し,本件特許は特許無効審判により無効にされるべきものとは認められないから,原告の本件請求はいずれも理由がある。ただし,仮執行宣言は相当でないからこれを付さない。


 よって,主文のとおり判決する。  』

と判示されました。


 詳細は、本判決文(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070314120031.pdf)を参照して下さい。



追伸1;<新たに出された知財判決>

●『平成18(行ケ)10348 審決取消請求事件 実用新案権 行政訴訟「使い捨てパンツの折り畳み構造」平成19年03月14日 知的財産高等裁判所』(棄却判決)http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070314164540.pdf
●『平成18(行ケ)10292 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟「通信システムのインターリービング/デインターリービング装置及び方法」平成19年03月13日 知的財産高等裁判所』(棄却判決)http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070314112143.pdf
●『平成17(ワ)19162 特許権侵害差止請求事件 特許権 民事訴訟「セフジニルA型結晶」平成19年03月13日 東京地方裁判所』(認容判決)http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070314120031.pdf



追伸2;<気になった記事>

●『ジェネリック薬品の結晶特許侵害認め製造販売差止め、東京地裁http://news.braina.com/2007/0314/judge_20070314_001____.html
●『ジェネリック特許侵害 大洋薬品の製造差し止める 』http://www.sankei.co.jp/shakai/jiken/070313/jkn070313010.htm
●『米シスコ、SMART仮想化技術の特許を保持する米NeoPath Networksを買収』http://www.rbbtoday.com/news/20070314/39604.html
●『【CRI】発明特許申請と授与件数、大幅に増加』(中国)http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2007&d=0314&f=business_0314_001.shtml
●『06年、知財権訴訟処理件数が1万7769件に』(中国)http://www.xinhua.jp/newsdetails.aspx?newsid=P100007549&cate_id=210
●『YouTubeは「法で守られている」とGooglehttp://www.itmedia.co.jp/news/articles/0703/14/news045.html
●『バイアコムYouTube著作権侵害でグーグルを提訴 10億ドルの損害賠償とクリップ削除を要求 』http://www.computerworld.jp/topics/ma/60370.html
●『「ViacomYouTube提訴」の余波は?』http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0703/14/news023.html
●『仏トムソンが特許権者として新たに加入』http://www.uldage.com/thomsonjp.doc
●『KDDI小野寺社長、JR東日本との光ファイバ事業にコメント』http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070314-00000021-imp-sci
●『 中小企業の戦略を考える(2)』http://www.business-i.jp/news/for-page/chizai/200703140003o.nwc
●『映画館での盗撮は違法に 自民、今国会に法案提出』http://www.tokyo-np.co.jp/flash/2007031301000654.html
●『著作権侵害ViacomYouTubeを提訴 - 10億ドル以上の賠償請求』http://journal.mycom.co.jp/news/2007/03/14/100.html
●『ドメインの不当登録に関する訴え、2006年は25%増加』http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0703/14/news017.html
●『4月18日は「発明の日」〜平成19年度「発明の日」記念事業の開催〜』http://www.jpo.go.jp/torikumi/puresu/press_hatumei_0418.htm
●『文化審議会著作権分科会私的録音録画小委員会(第1回)の開催について』http://www.bunka.go.jp/1osirase/bunkasingi_chosaku_rokuon1_070313.html