●平成18(行ケ)10356 審決取消請求事件 商標権ワンショットコース

  昨日は、昔一緒に勉強をしたゼミ仲間と何年ぶりかに飲んできました。とても楽しかったです。



 さて、本日は、『平成18(行ケ)10356 審決取消請求事件 商標権 ワンショットコース 平成19年01月31日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070131144748.pdf)について取上げます。


 本件は、無効審判の棄却審決の取消を求めた審決取消訴訟で、原告の請求が棄却された事案です。


 原告(無効審判請求人)は「カブドットコム証券株式会社」、被告(商標権者)は「楽天証券株式会社」です。また、本件商標は「ワンショットコース」、4条1項11号の無効理由の引用商標は「ワンショット手数料」です。



 知材高裁は、

『1 取消事由1(商標法4条1項11号該当性判断の誤り)について

(1) 類否判断の誤りについて1

ア 商標の類否は,対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に,商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが,それには,そのような商品又は役務に使用された商標がその外観,称呼,観念等によって取引者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すべく,しかも,その商品又は役務の取引の実情を明らかにし得る限り,その具体的な取引状況に基づいて判断するのを相当とする。


 したがって,外観,称呼,観念において類似するとはいえない商標であっても,具体的な取引の実情いかんによっては誤認混同を生ずるおそれがある場合があり,また,逆に,外観,称呼,観念において一応類似するといえる商標であっても,具体的な取引の実情いかんによっては誤認混同を生ずるおそれがない場合があることを念頭に置いて類否の検討をする必要があるものと解すべきである(原告の引用に係る前記最高裁昭和43年2月27日判決のほか,最高裁平成4年9月22日第三小法廷判決・判時1437号139頁,最高裁平成9年3月11日第三小法廷判決・民集51巻3号1055頁参照)。


イ 本件商標は,「ワンショットコース」の文字を標準文字により書してなるところ,英語の「One Shot Course」を片仮名表記したものである。本件商標の上記文字は,同一書体,同一字体の片仮名文字が等間隔に配列されており,外観上まとまりよく一体的に構成され,本件商標から生ずる「ワンショットコース」の称呼も冗長ではなく,よどみなく一連に称呼し得るものということができる。


 ところで,「ワン」は,「一。ひとつ」(広辞苑第五版),「ひとつ。いち。」(大辞林第三版)の意味を有する普通名詞(数詞)であり,「ショット」は,「(i)球を打つこと。また,打球。(ii)バスケットボールで,シュートの意味。(iii)映画・テレビ撮影で,一つの場面を撮るひとつづきの操作。また,それにより写したフィルム・ビデオ−テープ。(iv)散弾。(v)一杯の強い酒。」(広辞苑第五版),「(i)テニスやゴルフで球を打つこと。また,その球。打球。・・・(ii)映画の撮影でカメラが回り始めてから止まるまで連続撮影された一連の画像。(iii)射撃。(iv)ウィスキーなど,強い酒のひとくち。一杯」(大辞林第三版)の意味を有する普通名詞であるところ,「ワン」は,上記のとおりの意味であって,普通名詞である「ショット」と結合して,例えば,「ワンショット」,「ツーショット」などというように,当該名詞を数量をもって表すものであるから,「ワンショット」は,語頭に数詞を伴う不可分一体の語であるというべきである。


 次に,「コース」は,英語の「Course」を片仮名文字で表したものであるが,「(i)道すじ。行路。道程。進路。・・・(ii)経過。順序。・・・(iii)学科。課程。・・・(iv)競走・競泳・競漕・ゴルフなどで,定められた競技路。」(広辞苑第五版),「(i)進んで行く時にたどる一定の道筋や順序。進路。・・・(ii)スポーツの競技を行う,区分けされた進路。(iii)その中から選択するように設定された枠組みや過程。・・・(iv)物事が進行する道筋。」(大辞林第三版)といった意味を有する語として日本語化し,普通名詞となっている。


 以上のとおり,いずれも普通名詞である「ワンショット」の語と「コース」の語を結合させた場合,上記のとおり,「ワンショット」も「コース」もスポーツに関連があり,特に,「ワンショット」のテニス,ゴルフ等の球技における打撃又は射撃の印象と,「コース」のスポーツの競技における進路,順序,過程等の印象とは親近性が高いものであるため,「コース」の語は,「ワンショット」の語を受けて,一まとまりの「ワンショットのコース」として,球技,射撃等のスポーツに関連する進路,順序,過程等の観念を生じ,又は,そのようなことを連想させるものというべきである。


 そして,上記のとおり,本件商標は,外観,称呼において一体的に観察されることも考慮すると,「ワンショットコース」の語に接した取引者,需要者は,これを一まとまりの「ワンショットコース」という語句として把握するのが通常であると認められる。


ウ 引用商標は,「ワンショット手数料」の文字を標準文字で書してなるものであり,「ワンショット」と「手数料」の語からなる結合語である。引用商標は,「ワンショット」が片仮名文字,「手数料」が漢字であって,明らかに外観上区分されている。引用商標から生ずる称呼は,「ワンショットテスウリョウ」とやや冗長であり,しかも,前半は英語の表現であるのに対して,後半は日本語の表現であって,よどみなく一連に称呼し得るものとはいい難い。「手数料」の文字部分は,周知の普通名詞であり,役務の提供に関する手数料を表すものと容易に理解されるから,「ワンショット手数料」との標章は,「ワンショットの手数料」という観念を生ずる。


 以上のとおり,いずれも普通名詞である「ワンショット」の語と「手数料」の語を結合させた場合,両者は,相互に関連付けるような要素がないから,「ワンショット」の観念を有する語と,「手数料」の観念を有する語とが,単に結合されたというのみであり,一つのまとまった語句として把握することは,困難である。そして,上記のとおり,本件商標は,外観,称呼において必ずしも一体的に観察されるものでないことをも併せ考慮すると,「ワンショット手数料」の語に接した取引者,需要者は,「ワンショット手数料」と把握するほか,これを「ワンショット」として把握することがあり得るものである。


エ 以上のとおり,引用商標は,「ワンショット手数料」又は「ワンショット」として把握されるのに対し,本件商標は,一つのまとまった「ワンショットコース」という語句として把握されるから,外観,称呼,観念の全体的観察において非類似であると認められるので,さらに,取引の実情により誤認混同のおそれがあるといった格別の事情のない限り,本件商標と引用商標とは,非類似であるということができる。


(2) 取引の実情

ア 原告は,引用商標を用いて取引者,需要者に提供する原告の株式売買委託手数料体系と,本件商標を用いて取引者,需要者に提供する被告の株式売買委託手数料体系とが類似しているという取引の実情があるから,本件商標と引用商標は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがある旨主張する。


イ 証拠(各項目ごとに括弧内に摘示する。)によれば,本件商標の登録出願時である平成16年12月9日から登録査定時と推定される平成17年6月ころまでの取引の実情について,次の事実が認められる。

(ア) 原告及び被告は,いずれも,インターネット専業証券会社,すなわち,インターネットを利用した有価証券市場における有価証券の売買取引の委託の取次ぎ等を専業で行う証券会社として大手の会社であり,相互にサービスレベルを競争してしのぎを削っていた(甲18,32,33,34,38)。


・・・


ウ 上記認定の事実によれば,原告は,その株式売買委託における手数料体系について,複数日にわたる内出来約定でも一つの注文として計算するという手数料体系を採用し,これを「ワンショット手数料」と名付け,原告のウェブサイトに掲載し,多数の新聞,雑誌における原告の株式売買委託等の宣伝広告の中で,「ワンショット手数料」についての記載をし続けた結果,「ワンショット手数料」の語句は,後記2(3)のとおり,商標としての使用ではなかったが,原告の株式売買委託における,複数日にわたる内出来約定でも一つの注文として計算するという手数料体系として,遅くとも,本件商標の登録査定時である平成17年6月ころの時点で,取引者,需要者間において広く知られるに至ったことが認められる。


 そうすると,取引の実情において,引用商標に接した取引者,需要者は,「ワンショット手数料」の語句から,原告の株式売買委託における上記手数料体系の観念を生ずるのに対し,本件商標に接した取引者,需要者は,「ワンショットコース」の語句から,球技等のスポーツに関連する観念を生じさせ,又は,そのようなことを連想させるものであるから,平成17年6月ころの時点で,引用商標と本件商標とは,観念において相違し,役務の出所について誤認混同を生ずるおそれはないものというべきである。


エ 原告は,本件商標は本件指定役務に関する被告の料金体系を表すものであり,引用商標はその指定役務に関する原告の料金体系を表すものであり,また,本件商標と引用商標の「コース」及び「手数料」の語が,役務に対する料金体系を意味することからすれば,本件商標と引用商標とは,いずれも,取引者,需要者に,「ワンショット」という名称の料金体系との観念を生じさせるものであるから,本件商標と引用商標とは観念において類似する旨主張する。


 しかし,上記イの認定事実に照らすと,「ワンショット手数料」の語句が,複数日にわたる内出来約定でも一つの注文として計算するという手数料体系を表象するものとして周知となったところ,その手数料体系によってされる株式売買委託が特に原告の役務であったことから,間接的に原告の出所を表象することにもなったものと認めるべきである。このことに,後記2(3)のとおり,原告がその役務について商標として引用商標を使用していなかったこと,上記のとおり,日興ビーンズ証券ないしマネックス・ビーンズ・ホールディングス株式会社が,平成16年7月2日から平成17年8月4日まで,同社の約定ごとの手数料体系を「1ショット」と名付けて,株式売買委託の宣伝広告をしていたこと,前記(1)イのとおり, 「ワンショット」,「1ショット」が普通名詞であることをも考慮すると,「ワンショット手数料」の語句は,その全体が一体不可分のものとして,原告の株式売買委託における手数料体系として周知となったのであって,「ワンショット」の文字部分のみでは,原告の株式売買委託における手数料体系を想起させるものということはできず,「ワンショット」の文字部分が原告の役務を表彰するものとしてが周知となったとはいえない。


 したがって,引用商標が取引者,需要者に「ワンショット」という名称の原告の料金体系の観念を生じさせるものであることを前提とする原告の上記主張は,採用することができない。


オ 原告は,本件商標を有価証券市場における有価証券の売買取引の委託の取次ぎ等に使用した場合,これに接した取引者,需要者は,通常,「コース」の文字部分を当該役務の料金体系を意味する普通名詞として認識し,「ワンショット」の文字部分を自他商品の識別機能を果たすものとして認識するから,本件商標において自他商品の識別機能を果たす要部は,「ワンショット」の文字部分である旨主張する。


 証拠(甲5ないし12)によれば,株式会社東京三菱銀行においては,投資信託と定期預金とを併せ,そのうち投資信託の占める割合ごとに「投資信託30コース」「投資信託50コース」,「投資信託70コース」に区分していること,大和証券株式会社においては,担当者によるサービスの内容ごとに,「『ダイワ・コンサルティング』コース」,「『ダイワ・ダイレクト』コース」に区分していること,オリックス証券株式会社,岩井証券株式会社,コスモ証券株式会社,日本協栄証券株式会社,株式会社新生銀行においては,株式手数料の内容ごとに,それぞれ,「1日定額コース」と「約定ごとコース」,「アクティブコース」と「スタンダードコース」,「マンスリーコース(1ヶ月定額制)」と「デイコース(1日定額制)」,「1取引一律コース」と「デイパックコース」,「基本コース」と「1日定額コース」に区分していること,エイチ・エス証券株式会社においては,株式投資の初心者か経験者かによって手数料・費用を変えて,「一般コース」、「ハイパーアクティブコース(一日定額コース)」に区分していることが認められる。


 上記認定の事実によれば,本件指定役務と同一又は類似の役務を取り扱う証券業界においては,主として,提供する役務に関する料金体系によってコースを区分していること,その記載の仕方からして,「〜コース」という語句全体をもって,提供する役務に関する料金体系の名称を示していることが認められるが,逆に,本件全証拠を検討しても,同業界において、上記のような「コース」を含む文字で構成された料金体系の名称につき,「コース」の文字部分を省略して略称する取引の実情にあることを認めるに足りない。


 したがって,原告の上記各主張は,いずれも,採用の限りでない。


カ 原告は,被告が「いちにち定額」を商標登録し,そのホームページのトップページにおいて「いちにち定額コース」と「ワンショットコース」を並べて表示しているが,本件指定役務と同一又は類似の役務を取り扱う証券業界において「コース」を省略して「いちにち定額」,「ワンショット」と略称する取引の実情にあることを考慮すると,「コース」を省略して「ワンショット」と略称される本件商標と,「ワンショット」の文字部分が要部である引用商標とは,外観,称呼及び観念において同一であるから,誤認混同を生ずるおそれがある旨主張する。


 証拠(甲13,乙19)によれば,被告(旧商号・ディーエルジェイディレクトエスエフジー証券株式会社)は,「いちにち定額」の文字を標準文字で書してなり,指定役務を本件指定役務と類似の役務とする商標について,平成13年12月3日に登録出願し,平成14年11月22日に商標登録を受けたこと,本件商標の登録査定後ではあるが,平成17年9月21日付けの被告のホームページのトップページには,「10月からの史上最大の作戦! 国内株式の新手数料発表」という見出しの下に,「10月からの新手数料『ワンショットコース』」,「10月からの新手数料」欄に,「NEWワンショットコース1回ごとのお取引に適用される国内株式の手数料コースです。」,「今回の手数料改定のポイント」欄に「従来の『ひとつき割引コース』を『ワンショットコース』に改称し,手数料を大幅に値下げ!」,「タイプ別手数料コース選択ガイド」欄に,「NEWワンショットコースvsいちにち定額コース国内株式取引・・・」との記載があり,以下,「いちにち定額コース」と「ワンショットコース」の手数料の対比をしていることが認められる。


 被告のホームページの上記記載によると,「いちにち定額コース」及び「ワンショットコース」は,被告の手数料体系を説明するものとして記載されており,商標として使用しているものではない(後記2(2)参照)。


 このように「いちにち定額コース」の記載が商標としての使用ではないから,被告の有する登録商標「いちにち定額」を使用したわけではなく,その他,本件指定役務と同一又は類似の役務を取り扱う証券業界において,「コース」を省略して「いちにち定額」,「ワンショット」と略称する取引の実情にあることを認めるに足りる証拠はないから,原告の上記主張は,その前提において失当である。


(3) 以上を総合すると,本件商標と引用商標とは,外観,称呼,観念の全体的観察において非類似であり,取引の実情においては,「ワンショット手数料」の語句全体で,複数日にわたる内出来約定でも一つの注文として計算するという手数料体系を表象し,その体系が原告の業務に係る株式売買委託に関するものであるため,間接的に原告の出所を表象しているにすぎないから,「ワンショット」の文字部分が共通しているという理由で,誤認混同を生ずるおそれがあるということはできず,結局,取引の実情を考慮しても,役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれはないものというべきである。


(4) したがって,本件商標が商標法4条1項11号に違反して登録されたものではないとした審決の判断に誤りはなく,原告主張の取消事由1は,採用することができない。


2 取消事由2(商標法4条1項10号該当性判断の誤り)について

(1)審決は,「『ワンショット手数料』の文字は,請求人の手数料の料金体系を端的に表現したものであろうと理解するに止まるものというべきである。請求人の提出に係る証拠には,これら以外に請求人が『ワンショット手数料』の文字を使用している事実を示すものはない。」(審決謄本17頁第3ないし第4段落)と認定した上,「請求人の提出したこれらの証拠によっては,本件商標の登録出願時あるいは登録査定時において,『ワンショット手数料』の文字からなる商標が請求人の提供に係る証券業務に関する役務を表示するものとして取引者,需要者の間に広く認識されていたものとは認めることができない。」(同頁第5段落)と判断したのに対して,原告は,これを誤りであるとして争っている。


(2) 商標法2条1項2号にいう「商標」は,「業として役務を提供し,又は証明する者がその役務について使用をするもの」であると規定されているが,ここに「役務」とは,商取引の目的となり得る労務又は便益であって,その労務又は便益が,標章を付されることによって,出所表示機能,品質保証機能,広告機能を果たすものである。


 そして,同条3項は,「その役務について使用」する場合として,「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し、又は貸し渡す物を含む。以下同じ。)に標章を付する行為」(3号),「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為」(4号),「役務の提供の用に供する物(役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物を含む。以下同じ。)に標章を付したものを役務の提供のために展示する行為」(5号),「役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該役務の提供に係る物に標章を付する行為」(6号),「商品若しくは役務に関する広告,価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し,若しくは頒布し,又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」(8号)を挙げている。したがって,標章は,上記態様により「役務について使用」されて,初めて商標として使用されることになるものと解すべきである。


(3) これを本件についてみると,前記1(2)イ(ウ)ないし(キ)のホームページの記載,新聞雑誌への宣伝広告等によると,これらは,いずれも,原告の提供している現物株式取引,信用取引先物取引等の売買委託という役務に関する宣伝広告であり,商標法2条3項8号の「役務に関する広告,価格表」に該当するものと認められるが,この「役務に関する広告,価格表」に使用されている標章は,「kabu・com」,「カブドットコム証券」であって,「ワンショット手数料」ではなく,「ワンショット手数料」は,宣伝広告の文章の中で,複数日にわたる内出来約定でも一つの注文として計算するという原告独自の手数料体系の説明として記載されているのみである。


 以上によると,ホームページの記載,新聞雑誌への宣伝広告等における「ワンショット手数料」の記載は,いずれも,商標法2条3項所定の商標の使用に該当するものとはいえないから,本件商標の登録出願時ないし登録査定時において,引用商標が,原告の提供に係る証券業務に関する役務を表示するものとして取引者,需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。


(4) したがって,「ワンショット手数料」の文字は,取引者,需要者において,原告の手数料体系を端的に表現したものであろうと理解するにとどまるとした上,「請求人の提出したこれらの証拠によっては,本件商標の登録出願時あるいは登録査定時において,『ワンショット手数料』の文字からなる商標が請求人の提供に係る証券業務に関する役務を表示するものとして取引者,需要者の間に広く認識されていたものとは認めることができない。」とした審決の判断に誤りはなく,原告主張の取消事由2は,採用することができない。


3 取消事由3(商標法4条1項19号該当性判断の誤り)について

(1) 審決は,「本件商標は,引用商標に化体した請求人の業務上の信用にフリーライドし不正に使用する商標ではなく,さらに,公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標とも認められない。」(審決謄本17頁下から第2段落)と判断したのに対し,原告は,これを誤りであるとして争っている。



(2) しかし,本件商標と引用商標とが類似するものでないことは,前記1(1)のとおりであり,また,前記2(3)のとおり,本件商標の登録出願時ないし登録査定時において,引用商標が,原告の提供に係る証券業務に関する役務を表示するものとして取引者,需要者の間に広く認識されていたとはいえないから,商標法4条1項19号の「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標」の要件を欠くことが明らかであり,これと同旨の審決の判断に誤りはなく,原告主張の取消事由3は,採用の限りではない。


4 以上のとおり,原告主張の取消事由はいずれも理由がなく,他に審決を取り消すべき瑕疵は見当たらない。

 よって,原告の請求は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。』

と判示されました。


 詳細は、上記判決文を参照して下さい。



追伸;<新たに出された判決>

●『平成18(行ケ)10112 審決取消請求事件 特許権 「歯ブラシ」 平成19年02月08日 知的財産高等裁判所
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070209105147.pdf


追伸;<気になった記事>

●『昨年の特許国際出願件数、韓国と中国が急増、WIPO発表』
http://news.braina.com/2007/0209/move_20070209_001____.html
●『ブラジルは偽造品大国=世界ランクでワースト4』
http://www.nikkeyshimbun.com.br/070209-34brasil.html
●『日本のコンピューター産業の父・和田弘氏が逝去』
http://ascii.jp/elem/000/000/017/17042/

●『中国、国籍を問わず知的所有権を保護』
http://www.people.ne.jp/2007/02/08/jp20070208_67695.html
●『中国の海賊版取り締まり、成果見えず』
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0702/09/news041.html
●『インターネット上の海外の著作権侵害、9割が解決』
http://www.people.ne.jp/2007/02/09/jp20070209_67738.html
●『[WSJ] EMI、「全曲DRMなし」での販売を検討』
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0702/09/news045.html
●『韓国でDRM解除の無制限音楽ダウンロードサービスが登場、論争は必至』
http://journal.mycom.co.jp/news/2007/02/09/380.html
●『リーバイス、相次ぐ訴訟 米アパレル業界の知財問題に一石 』
http://www.business-i.jp/news/world-page/news/200702100018a.nwc
●『RIMとSamsung、「BlackJack」商標訴訟で和解』
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0702/09/news067.html