●平成17(ワ)7781 特許権侵害差止等請求事件 自動車自動運転ロボッ

  今朝のガッチリマンデーは、マイクロソフトの話でした。1/30発売のVISTAの紹介もありました。が、マイクロソフトの現在の売上高が棒グラフで紹介されており、確か50兆円?くらいだったのに驚きました。世界の電機メーカーで売上高が50兆円なんていうのは、他にあるのでしょうか?


 さて、1/25に公表された『エイディシーテクノロジー株式会社』(http://www.epoint.co.jp/)の訂正審判の請求棄却審決を取消した3件目の

 『平成18(行ケ)10072 審決取消請求事件 番組選択装置および番組選択方法 平成19年01月25日 知財高裁』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070126144515.pdf)も、
 判示事項は、昨日および一昨日に紹介した
 『平成18(行ケ)10071 審決取消請求事件 放送内容受信装置 平成19年01月25日 知財高裁』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070126144253.pdf

 『平成18(行ケ)10070 審決取消請求事件 番組サーチ装置および番組サーチ方法 平成19年01月25日 知財高裁』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070126143853.pdf

 とほぼ同じなので省略します。



  今日は、1/25に大阪地裁で出された

 『平成17(ワ)7781 特許権侵害差止等請求事件 自動車自動運転ロボットの制御方法 平成19年01月25日 大阪地裁』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070126131008.pdf)について取り上げます。


  本件は、同日に出された

 『平成17(ワ)9396 特許権侵害差止等請求事件 車両運転モード表示装置 平成19年01月25日 大阪地裁』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070126133758.pdf)、

 『平成17(ワ)8520 特許権侵害差止等請求事件 車両運転モード表示装置 平成19年01月25日 大阪地裁』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070126132623.pdf

 と同じ当事者間の争いです。



 3件とも、被告側が特許無効の抗弁を主張して、104条の3による特許の無効の抗弁が認められ、原告の差止め等の請求が棄却された事件です。
 


 まず、1件目の『平成17(ワ)7781 特許権侵害差止等請求事件 自動車自動運転ロボットの制御方法 平成19年01月25日 大阪地裁』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070126131008.pdf)は、被告から請求された無効審判請求手続において原告が訂正請求を行ったが、特許庁はその訂正請求を認めず、本件特許無効審決をし、本件口頭弁論終結日前に、原告が同審決の取消しを求める審決取消訴訟を提起したものの、原告の差止め等の請求が棄却された事件です。



 つまり、本件で大阪地裁は、

『4 本件特許発明の容易想到性

そこで,上記相違点を当業者が容易に想到できたものであるかを検討する。

(1) 上記1によれば,引用発明1のモード運転用ロボットは,変速レバーの位置を自動的な学習ではない「ティーチング」によって学習しているが,アクチュエータがアクセル,ブレーキ,クラッチの各ペダルに触れる位置と最大踏込位置については自動的な学習である「ラーニング」で学習するものであることが認められる。そうすると,引用発明1では,アクセル,ブレーキ,クラッチと同様に自動車自動運転ロボットが操作する「変速レバー」についても「自動的に位置を学習させる」という技術的課題があることが認められる。


上記2によれば,引用発明2は,本件特許発明及び引用発明1と同様,車両に設置され,変速レバーの位置を自動的に制御する自動変速機用位置制御装置において,2つのアクチュエータを制御して変速レバーをセレクト方向(SE)及びシフト方向(SF)にそれぞれ移動してその可動範囲を確認してその操作位置を記憶させることにより,変速レバーのシフト位置を自動的に学習させる方法についての発明であることが認められる。


引用発明1と引用発明2は,共に車両に設置され,変速レバーの位置を自動的に制御する装置に関するものであるから,共通の技術分野に属するものと認められる。


そうすると,引用発明1に引用発明2の変速レバーの操作位置の学習の技術を用いることは,当業者であれば容易に想到し得たものであると認められる。


また,引用発明1は,DCモータを用いてシフトレバーを移動するものであるから,モータへの電流を制御しながらシフトレバーを移動させることは,当業者が当然に採用する事項である。


そして,本件特許発明の作用効果も,引用発明1及び引用発明2から,当業者であれば予測できる範囲のものである。


(2) 原告は,本件特許発明は,ロボット本体が「自動車の運転席の座席シートに固定され」ながら,自身でラーニングを行うという特別な条件下での独特の課題,すなわち,変速レバーをX軸方向及びY軸方向にそれぞれ移動してその最大可動範囲を確認する際「モータへの電流を所定電流よりも少なくしながら」行わないと,誤った学習をしてしまうという不都合を解決するために,特に「モータへの電流を所定電流よりも少なくしながら」変速レバーをX軸方向及びY軸方向にそれぞれ移動してその可動範囲を確認する構成を採用しているのに対し,引用発明1及び2は,このような技術的課題に対するものではなく,これに対する解決手段を提示するものでもない旨主張する。



 原告の上記主張は,被告から請求された無効審判請求手続(乙9)において,平成18年1月25日付けでした訂正請求に係る請求書(甲11の1)添付の明細書(甲11の2)に基づくものであると認められるところ,特許庁は,同年9月12日付けで,同訂正請求を認めず,本件特許を無効とする審決をし(乙11原告は,同年10月17日,同審決の取消しを求める訴えを知的財産高等)裁判所に提起した(甲12)ことが認められる。


  したがって,少なくとも本件の口頭弁論終結日である同年10月19日現在において,当裁判所としては,本件特許発明は,その特許請求の範囲に記載されたとおり「モータへの電流を制御しながら」変速レバーをX軸方向及びY軸方向にそれぞれ移動してその可動範囲を確認するとの構成が採用されているものとして,前記第2の1(2)のとおりその発明の要旨を認定し,特許法29条1項,2項の特許要件の有無の判断をせざるを得ない。


 そうすると,本件特許発明は,原告が主張するような「モータへの電流を所定電流よりも少なくしながら」変速レバーをX軸方向及びY軸方向にそれぞれ移動してその可動範囲を確認するとの構成を採用するものではないから,本件特許発明が,原告が主張するような技術的課題に対する解決手段を提示するものであるかどうかは,本件明細書及び図面の記載を参酌しても不明であるというほかない。


 したがって,原告の上記主張は理由がない。


(3) 以上によれば,本件特許発明は,引用発明1及び2に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから,進歩性に欠け,特許法29条2項の規定により,特許を受けることができないものである。

5 結論


 したがって,本件特許発明は,特許法29条2項の規定に違反して特許されたものであり,同法123条1項2号の無効事由を有することになる。

 よって,本件特許は特許無効審判により無効とされるべきものであるから,特許法104条の3第1項により,特許権者である原告は,被告に対し本件特許権に基づく権利を行使することができない。したがって,原告の本訴請求は,その余の点について判断するまでもなくいずれも理由がない。


   よって,主文のとおり判決する。』


と判示されました。


 詳細は、上記判決文を参照して下さい。



追伸;<気になったニュース>

●『【知はうごく】ニュース特集:知的財産を考える』
http://www.sankei.co.jp/chizai/chizai.htm
・・・まねきTV事件等について解かり易く解説されており、とても参考になります。
●『文科省教材と同名を商標権取得どちらが本物? 『心のノート』』
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070127/eve_____sya_____001.shtml
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http://www.jetro.go.jp/biz/world/n_america/us/ip/news/pdf/070125.pdf
●『特許出願様式の共通化、APECで日米共同提案へ』
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20070128ib22.htm
●『【知はうごく】「50年か70年か、見えない妥協点」 著作権攻防(3)−1 』
http://www.sankei.co.jp/culture/bunka/070128/bnk070128013.htm