●平成18(ネ)10056 損害賠償等請求控訴事件 電話の通話制御システ

  特許法第104条の3による特許無効の抗弁により、原告(控訴人)の請求が棄却された事件として、昨年末もう一件、『平成18(ネ)10056 損害賠償等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 電話の通話制御システム,電話の通話制御方法』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20061221104515.pdf)が出ていましたので本件について取り上げます。


 本件では、「電話の通話制御システム」の発明に係る特許権(本件特許権1)と、「電話の通話制御方法」の発明に係る特許権(本件特許権2。なお,本件特許権2に係る特許出願は本件特許権1に係る特許出願を親出願とする分割出願。)の2つの特許権に基づき争われました。


 なお、本事件の控訴人(原告)側の訴訟代理人は、竹田稔弁護士、大野聖二弁護士等である一方、被控訴人(被告)側の訴訟代理人は、牧野利秋弁護士、尾崎英男弁護士等であり、とても有名な方であります。


 知財高裁は、まず、

『争点4の「本件各特許発明にかかる特許は無効理由を有するか」について判断するに当裁判所も、

(i)本件特許発明1についてなされた本件出願1補正が本件出願当初明細書の要旨を変更するものであり,旧特許法40条により,補正日である平成9年5月7日に出願したものとみなされるところ,本件特許発明1は,乙3文献,乙4文献及び乙5文献にそれぞれ記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本件特許権1に係る特許は,特許法29条2項に違反してなされたものであり,


(ii)本件特許発明2についてなされた本件出願2第1,第2補正は,本件出願当初明細書又は図面に記載された事項の範囲内で,特許請求の範囲を増加し減少し又は変更した補正と認められないから,本件出願2は分割出願の要件を満たさず,現実の出願時である平成9年5月7日に出願したものとみなされるところ,上記本件出願2第1,第2補正は,本件特許発明2に係る特許出願の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものと認めることもできないため,特許法17条の2第3項に反するものであり,


(iii)したがって,本件特許権1,2に係る各特許はいずれも無効理由を有し,特許無効審判により無効にされるべきものであるから,本件特許権1,2に基づく権利行使は,特許法104条の3第1項によって許されないものと判断する。


 その理由は,当審における控訴人の主張に対し,以下のとおり判断するほか,原判決「事実及び理由」の欄の「第4 当裁判所の判断」(64頁19行〜82頁4行)のとおりであるから,これを引用する。』

と判示されました。


 なお、本判決では、『(1)「本件出願当初明細書に開示された発明の本質」との主張について』や、『(2) 「原判決の出願当初明細書の理解の誤り」との主張について』等の争点についても判断されていますので、これらの争点については明日移行、取り上げたいと思います。


追伸;<気になったニュース>

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http://www.ipnext.jp/event/index.php?id=669
・・・無料ですが、事前申込み制とのことです。

●『「包括ライセンス契約による通常実施権の登録制度の創設について」に対する意見』
http://www.jipa.or.jp/content/jyohou_hasin/teigen_iken/doc/070110.pdf
・・・日本ライセンス協会に続いて知財協からも意見が提出されたようです。ちなみに日本ライセンス協会からの意見はこちらです(http://www.lesj.org/contents/japanese/image/03jyoho/word/ikensyo.doc)。
●『商標審査基準の改正案への意見』
http://www.jipa.or.jp/content/jyohou_hasin/teigen_iken/doc/061217.pdf

●『実務に役立つ パネルディスカッション 永遠のテーマ 「化学発明の進歩性」(日本弁理士会)』
http://info.jpaa-elearning.net/seminar/0221.html
●『登録調査機関(上)3機関が新規立ち上げの動き 外注促進へ予算2けた増』
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●『プラクティス・リーダーによる米国知財事情 vol.4 米国での特許侵害裁判における損害賠償算定ディスカバリーへの対応』
http://www.ipnext.jp/journal/kaigai/eritha.html