●知財協“Coffee break”のコラム『知財バブルについて』

 昨年の12/8に、<参考になったその他の記事>として、知財協“Coffee break”のコラム『知財バブルについて』(http://www.jipa.or.jp/content/coffeebreak/yakuin/yaku061204.html)を取り上げたものの、コメントせず気になっていたので、本日コメントします。


 まず、このコラムを書かれた方は、日本知的財産協会の専務理事、すなわち日本企業の知財部を代表する知財協のトップの宗定 勇様です。



 勿論、私のような一企業の知財部員からすると、我国知財部のトップの方ですので、面識は全くなく、雲の上の方という存在です。


 そういう日本企業の知財部トップにある方が、「知財バブルについて」と題して、


『国の知財政策や一部の組織、団体の動きを見ていると知財立国へ向けてしっかりと地歩を固めつつ前進しているというよりも知財バブルが起こっているように感じられる。



 皆さんはどう感じますか?数十年くらい経って、冷静にふり返って見たときに「あれは何だったんだろうか?日本にとって何ももたらさなかったバブルとその崩壊だった。」と思われる時代を今、我々は自ら歴史として刻み、歩んでいるのではないだろうか?


 ・・・


 私は、知財とは何か?何故、今、知財が重要なのか?知財を重視して我々はどのような産業社会を作ろうとしているのか?という一番根っこにある問題をみんなでしっかりと論議した上で、知財立国の理念、ビジョン、戦略を明確にする事しかないように思います。


 原点に立ち戻っての論議や考察と合理的、論理的な思想の確立と言って良いでしょう。人の尻馬に乗らないで、自分の頭で考える事!



 ・・・』 (以上、日本知的財産協会の“Coffee break 役員談話室”( http://www.jipa.or.jp/content/coffeebreak/yakuin/yaku061204.html)より抜粋。)


 と述べられています。



 このコラムの最初の方を読んだとき、現在、産業界全体で知財国家を目指していこうとする国家戦略に対する反対意見のように思いましたが、最後まで良く読んでいくと、そういう反対意見というよりは、『皆さん、本当にこの方向に進んでよいのか、どのようにして知財国家に進むのが良いのか、もう少し冷静になって十分に考えながら進みましょう。』という助言のようであります。



 確か、キャノン顧問の丸島弁理士は、その著書の「キャノン特許部隊」の中で、

『企業における特許は、自分の企業を守るために独占的に使うのが本道である。企業における特許は商品でない。』

と言っておられ、各種講演でもこの立場で一貫して主張されていたと思います。



 お二方の考えの原点は、事業あっての特許、つまり特許より事業の方が当然に重要であり、あくまで特許は事業の後方支援であるべき、ということだと思います。



 この原点を忘れずに、我国が知財立国を目指していき、その中で、個人的に弁理士として少しで役に立っていきたい、と思いました。



追伸;<気になった記事>

●『IBM、2006年の特許取得件数で14年連続トップ』
http://japan.zdnet.com/news/ir/story/0,2000056187,20340568,00.htm
http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20340568,00.htm
・・・この記事によれば、

第2位はサムスン電子で2453件、続いてキヤノンが2378件、松下電器が2273件、Hewlett-Packardが2113件、Intelが1962件、ソニーが1810件となっている。』
とのこと。

●『超高速赤外線データ配信システム 』
http://www.ibc.co.jp/ibcnews/today/NS003200701111823295.html
・・・この記事によれば、
『赤外線通信を使って1秒間に音楽1曲をダウンロードすることができてしまうという、世界初の新技術が公開されました。岩手県立大学の蔡助教授が開発したこの超高速赤外線データ配信システムはおよそ1秒間に音楽ならば1曲から2曲分、動画ならば150秒から300秒を受信機に取り込むことができます。これは携帯電話などに搭載され普及している赤外線通信に比べ200倍以上高速ということです。』
とのこと。

●『特許侵害で米サンディスク製品の押収続く=伊シスベル〔BW〕』
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070111-00000122-jij-biz
・・・この記事によれば、

『シスベルは、サンディスクをオランダ、ドイツ、英国、米国で提訴しており、これまでのところすべての係争案件につき、シスベル側有利の判断が示されている。伊シスベルの同特許ライセンシー企業には、アップル、ソニー東芝ノキアモトローラパッカードベルなど、大手家電メーカーが多数含まれている。』
とのこと。

●『伊シスベルとオーディオMPEG、米マイクロソフトにMP3の特許を許諾(シスベル)』
http://www.ipnext.jp/news/index.php?id=648
●『MICROSOFT LICENSED BY SISVEL AND AUDIO MPEG UNDER MP3 PATENTS』
http://www.sisvel.it/microsoft.pdf

●『ユミルリンク、データ通信における情報の暗号化で米国特許を取得』
http://japan.cnet.com/news/ent/story/0,2000056022,20340561,00.htm
●『WSJ-インテルトランスメタ特許権侵害で反訴』
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070111-00000024-dwj-biz
●『資生堂がニセ化粧品「打撃キャンペーン」』
http://www.business-i.jp/news/china-page/news/200701110039a.nwc
●『ファイル交換ソフトによる著作権侵害、発信者情報の開示手続きを迅速化』http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/01/10/14422.html
●『北京地裁 知財権裁判の外国側勝訴率は約6割』
http://www.people.ne.jp/2007/01/10/jp20070110_66763.html
●『シスコシステムズiPhoneの商標権侵害でアップルを提訴』
http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20340507,00.htm
●『中国:深セン中興通訊の特許申請件数がダントツのトップ、全体の93%』
http://www.nikkeibp.co.jp/news/biz07q1/522231/
●『【CES 2007】米国商務省長官、中国政府の3G政策を痛烈批判──独自規格をやり玉に
http://www.computerworld.jp/news/trd/55870.html