●『ウィルコム、W-SIM裁判に勝訴』の記事

  本日公表された『ウィルコムW-SIM裁判に勝訴』(http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/articles/0612/05/news033.html)の記事や、『W-SIM特許侵害訴訟、東京地裁ウィルコム主張を支持』(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061205-00000026-imp-sci)(http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/32262.html)の記事によれば、ウィルコムは同社が販売している小型通信モジュール「W-SIM」をめぐってヒューネット・ディスプレイテクノロジー(HDT)社から訴訟提起を受けていた「平成18年(ワ)第6108号 特許権侵害差止請求事件」について、12月5日、ウィルコム勝訴の判決が言い渡されたことを明らかにした、とのことです。


 対象となった特許は、HDT社が持つ「電話送受信ユニット及び移動体通信端末」(特許第3048964号)で、その特許請求の範囲は、IPDLにて特許公報を検索すると、


「【請求項1】
  アンテナにより受信される受信信号をスピーカから出力する音声信号に変換する機能と、
 マイクに入力される音声信号を前記アンテナから出力する送信信号に変換する機能と、操作部からの操作信号に基づいて所定の処理を行う機能と、
 表示部に表示する表示信号を生成する機能とを有する電子回路と、
 前記電子回路を含み、移動体通信端末に設けられたスロットに全体が収納されるような形状に形成されたカートリッジと、
 前記カートリッジに設けられ、前記移動体通信端末との間で信号を入出力する入出力部とを有することを特徴とする電話送受信ユニット。

【請求項2】
  基地局との間で信号を送受信するアンテナと、音声信号を出力するスピーカと、音声信号を入力するマイクと、操作に基づいて操作信号を生成する操作部と、表示信号に基づいて表示する表示部と、請求項1記載の電話送受信ユニット全体を収納するスロットと、前記スロットに設けられ、前記電話送受信ユニットとの間で信号を入出力する入出力部とを有することを特徴とする移動体通信端末。

【請求項3】
  基地局との間で信号を送受信するアンテナと、請求項1記載の電話送受信ユニット全体を収納するスロットと、前記スロットに設けられ、前記電話送受信ユニットとの間で信号を入出力する入出力部と、移動体通信中継端末用の移動体通信端末との間で信号を送受信する手段とを有することを特徴とする移動体通信中継端末。

【請求項4】
  音声信号を入力するマイクと、音声信号を出力するスピーカと、請求項3記載の移動体通信中継端末との間で信号を送受信する手段とを有することを特徴とする移動体通信中継端末用の移動体通信端末。

【請求項5】
  請求項2記載の移動体通信端末において、前記移動体通信端末は、携帯電話機、簡易型携帯電話機、携帯情報通信端末、又はモバイルコンピュータであることを特徴とする移動体通信端末。

【請求項6】
  請求項4記載の移動体通信中継端末用の移動体通信端末において、前記移動体通信端末は、万年筆、キーホルダ、ライタ、又はペンダントの形態を有していることを特徴とする移動体通信中継端末用の移動体通信端末。」

です。


 上記記事によれば、『判決では、ヒューネットの訴え自体を無効とし、さらにヒューネットの特許自体も無効とした。』と記載されているので、ウィルコム側は、無効資料を提示して特許法第104条の3の権利濫用の抗弁を主張したものと思われます。


 ともかく、明日あたり裁判所から判決文が公表されるのと思いますので、判決文が公表され次第、取り上げたいと思います。


 なお、HDT社(株式会社ヒューネット・ディスプレイテクノロジー)は、カラーフィルタを使用しないフィールド・シーケンシャル方式(FS方式)カラー液晶ディスプレイ技術を開発したベンチャー企業でもあります。


 フィールド・シーケンシャル方式(FS方式)の原理等は、同社のサイト(http://www.hunetlcd.com/jp/index.html)に掲載されています。



追伸:<気になったニュース>
●『W-SIMウィルコムシム)に関する裁判判決(勝訴)のお知らせ』
http://www.willcom-inc.com/ja/info/06120501.html
●『<電力線通信>電波妨害の恐れ 大学教授ら行政訴訟へ』
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061205-00000009-mai-soci
●『「テレビのネット化」で深まる家電メーカーと放送局の溝』
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/OPINION/20061201/255550/
●『キー局など、YouTubeに「著作権侵害防止の具体策示せ」と書面送付』
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0612/05/news044.html
●『第95回「"SEIKO"のDNA、ものづくりの理念を受け継ぐ研究開発戦略と知的財産戦略――セイコーインスツル 技術本部に聞く(上)」(2006/12/01)』
http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/soumu/rensai/senshin_chizai.cfm
http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/soumu/rensai/senshin_chizai.cfm?p=2