●『大日本除虫菊株式会社 VS アース製薬株式会社』(2)

 昨日の続きです。
 
 なお、asahi.comの『アースと大日本除虫菊、電池式蚊取り器の特許めぐり訴訟』の記事のリンクが切れており、YOMIURI ONLINEのhttp://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060823i115.htmの方で、この関連記事が残っています。


 さて、特願平9−185284号の「害虫防除装置」のアース製薬の特許第3802196号の審査経歴を調べてみると、アース製薬自身の特許出願(特願平3−356723号)の特開平5−68459号公報が進歩性の引例として引かれていました。

 

 そして、この引例発明の課題や出願当初のクレーム、図を見ると、明らかに薬剤自身を回転させるものでした。

 そして、アース製薬自身のこの引例発明も特許第3361541号として特許になっており、その特許公報の特許請求の範囲は、

『【請求項1】
 多数のブレードを有し、各ブレードの間が開いていて開口部を形成している円形のブレード部と、駆動装着部とを有するロータリーファンの前記ブレードの間の開口部全面に、揮散性害虫駆除剤としてエムペンスリンを封入したガス透過性フィルムからなる膜部を有する袋又は容器あるいは通気しうる微小孔を有する袋又は容器を保持し、前記ロータリーファンをモーターで回転させて、エムペンスリンを気中に拡散させることを特徴とする揮散性害虫駆除剤の拡散方法。』
でありました。


 この引例の特許発明は、方法発明で、薬剤自身をエムペンスリンを限定していますが、この引例明細書に記載された発明の課題等を参照しても、薬剤自身を回転させることが発明の本質のようです。


 アース製薬側がどの特許で差止め請求訴訟を提起し、大日本除虫菊側がどの特許に対し差止め請求権不存在訴訟を提起しているか不明ですが、どうなるか興味があります。


 なお、個人的には、日本のライバルメーカ同士は、特許の潰し合い等をせず、お互いの特許を尊重して、外国のメーカに協力して対向していくことを願っています。