●『平成17(行ウ)609 裁決取消等請求事件 東京地裁 』

『平成17(行ウ)609 裁決取消等請求事件 特許権 行政訴訟 平成18年08月04日 東京地方裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20060804161647.pdf)について、紹介します。

 本件は,原告が国際特許出願の審査請求をしたところ,特許庁長官が,期間経過後にされた不適法な請求であるとの理由により,特許法18条の2第1項に基づき手続を却下する処分をし,行政不服審査法に基づく異議申立ても棄却したため,出願審査請求期間の末日に関する特許法の解釈を誤ったものである等の実体的違法,理由付記の違法等の手続的違法を主張して,異議決定の取消し及び却下処分の無効確認を求めた事案で、原告の請求は棄却されました。


 なぜ、審査請求期間を過ぎてしまったかというと、原告の出願人が在外者でフランスより国際出願日1996年10月10日からちょうど審査請求期限の7年の満了日である平成15年(2003年)10月10日の金曜日の現地時間午前11時40分頃,本件国際特許出願の特許管理人に対し,本件国際特許出願につき出願審査請求をしてほしい旨のファクシミリ(甲4)を送信したところ、このファクシミリは,日本時間同日午後6時40分頃,原告の特許管理人の事務所に到達したが,原告の特許管理人の事務所は,上記時刻には勤務を終了しており、11日は土曜日、12日は日曜日、13日は10月の第2月曜日で体育の日であったため、14日に上記依頼を知り、14日に出願審査請求書を提出したからです。

 原告は、本件異議決定の違法性について、行政手続法1条の趣旨違反や、国際協調の観点から主張しましたが、結局、東京地裁は、国際協調の観点からの違法性につき、

『原告は,平成15年10月10日が休日でなくなることにより重大な不利益を受けるのは,外国の国内官庁等が受理官庁として受理した国際出願だけであるから,国際協調等の観点から,不利益を被る出願人にその旨の通知をするなどの措置を執らずに行った本件却下処分は違法であると主張する。

 しかし,国際特許出願であっても,出願後の手続が我が国の法令に従って行われる以上,出願人自らが我が国の法令に精通するか,適切な特許管理人に委任するなどの方法で対応すべきでことは当然であるし,原告主張の通知等をすることを義務付ける法令はもちろん,条理上そのような通知等すべきことを基礎付ける事情も認められないから,原告の上記主張は採用できない。』

と判示して、原告の請求を棄却しました。


 外国案件は、時差がありますので、期限管理は本当に注意しないといけないですね。


追伸;<気になったニュース>
●『エリクソンサムスン電子に対する新たな特許訴訟を提起』http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060804-00000011-cnet-sci
●『第80回「創業以来の経営哲学に立脚するキヤノンの知的財産経営――キヤノン専務取締役・知的財産法務本部長 田中信義氏に聞く(その1)」(2006/08/04)』http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/soumu/rensai/senshin_chizai.cfm?p=1