●平成17(行ケ)10514 審決取消請求事件 特許権「遊戯台」知財高裁

『平成17(行ケ)10514 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟「遊戯台」平成18年06月21日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20060622104257.pdf)についてコメントします。


 本事件では、特許庁の下した特許法29条2項(進歩性)違反と、特許法36条4項(明細書等の記載要件)違反による拒絶審決が、その判断に違法性があり取り消されました。


 具体的には、裁判所は、
『1 取消事由1(特許法29条2項についての判断の誤り)について
(1) 周知技術に関する認定が誤り
 刊行物1の記載から、本願発明の構成である「メダルが投入された時に,前記表示装置による前記演出が実行されている場合には,・・・前記表示装置による前記演出を強制的に終了させること」が自明であると認定したことは、誤りである。

(2) 容易想到性の判断について
  刊行物1の発明では、メダルが投入された時に内部当り表示ランプ20が点灯している場合,同ランプによる演出を強制的に終了させる(すなわち,消灯させる)必要はなく,かえって,ドラムが所定の入賞図柄に停止していないのにメダルの投入時に内部当り表示ランプ20を消灯させることは,引用発明の本質的部分に反することとなるから,引用発明において内部当り表示ランプ20による演出を強制的に終了させることは,当業者が容易に想到し得るものではなく,審決が「引用発明において,メダルが投入された時に,内部当り表示ランプ20による点灯・・・がされている場合には,内部当り表示ランプ20を消灯させること,すなわち,表示装置による演出を強制的に終了させることは・・・当業者が必要に応じて適宜になし得る程度の設計的事項にすぎない」と判断したことは,誤りである。』
 と判断しました。


 その結果、裁判所は、
『(3) 以上のとおり,審決の周知技術に関する認定,容易想到性の判断はいずれも誤りであるから,原告主張の取消事由1(特許法29条2項についての判断の誤り)は,理由がある。』
 と判示しました。


 本事件では、以上のように特許庁の進歩性なしの判断を誤りとし拒絶審決を取消していますので、知財高裁の進歩性の考え方がわかるかもしれません。


 詳細は、上記判決文を参照して下さい。


 なお、特許庁の拒絶審決を取り消した判決『平成17(行ケ)10718 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成18年06月22日 知的財産高等裁判所 』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20060623104959.pdf)がもう一件出ていますので、明日は、こちらについてコメントします。