●特許庁公表の『先使用権制度ガイドライン(事例集)』について

Nbenrishi2006-06-18

 6/16に特許庁から先使用権制度ガイドライン(事例集)として公表された『先使用権制度の円滑な活用に向けて −戦略的なノウハウ管理のために− 』(http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/pdf/senshiyouken/guideline.pdf)に目を通してみました。


 やはり、公開制度による最新の特許情報の公開は、海外メーカへ技術情報の無償提供となり技術のキャッチアップをもたらしているようですし、その弊害が大きいようですね(なお、今回は、出願件数(審査件数)の抑制という意図はないと思っています。)。


 なお、特許庁がこのような資料を作成したのは、「先使用権制度を改正すると、特許権者と先使用権者とのバランスを変える可能性があるため、法改正ではなく、ガイドライン(事例集)を作成することにより、先使用権制度の明確化、先使用権の立証手段の具体化を図り、先使用権制度のより円滑な利用を推進することが必要との答申が出された。」、とのことです。


 非公開でも自己実施確保等の権利を認めようとする先使用権制度は、公開の代償として独占排他権を付与し産業の発達を図るとする特許制度の中では、ある意味、例外ですので、特許権者と先使用権者等とのバランスを図るのが本当に難しいようですね。



追伸;<今年の論文試験について>

 私が受験生の頃は、論文試験では、1年おきくらいに、訂正審判または訂正請求と無効審判との関係が出題されたような記憶があります。


 先日も裁判所と特許庁とのキャッチボール現象を防止するため、平成15年改正法における訂正審判の運用が変更されましたが、今年の論文試験では、やはり、平成15年改正法における特許無効審判と訂正審判との関係や、平成16年法改正の104条の3等と絡んだ侵害事例が出題される可能性が高いと思っています。

 「平成15年改正法における特許無効審判の運用指針」は、しっかりと理解しておきましょう。


 次に、今回事例集が公表された先使用権制度(79条)も、特許法概説に論点が多数掲載されていますので、要注意です。論点は漏らさず挙げられるように準備しておきましょう。

 なお、今回公表された先使用権制度の事例集にも、過去の判例や論点が掲載されていますので、この先使用権の事例集の読み込みも重要かと思います。