●平成17(行ケ)10420 審決取消請求事件 特許権 知財高裁(2)

 土、日は、雨が降っていなければ、運動不足解消のため、子供とテニスをするか、あるいは午後から2時間ほどお気に入りのコースを自転車で走ることにしています。2時間も走ると、だいたい30kmくらいになります。結構いい汗かきます。その後のビール(発泡酒です)は格別です!!。今日は天気が心配でしたが、30km走りました。今度写真をアップします。


 さて、昨日紹介した『平成17(行ケ)10420 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成18年05月30日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20060530194928.pdf)の事件の権利関係について、自分の考えを述べると、国内優先権の利益あるいは補正の利益が認められるか否かということと、特許発明の技術的範囲に属するか否かということとは、個人的には、全く別の問題と考えています。


 前者は、あくまで先願主義の原則に基づき遡及的に明細書に追加できる範囲を問題にしているのに対し、後者は、特許法の目的等に基づき権利の及ぶ範囲を問題にしているからです。


 つまり、本事件の発明が、仮に、国内優先をせずに、あるいは国内優先により追加した部分を削除して「電話回線システム」のままで特許になった場合でも、この特許発明の技術的範囲に「インターネット」を利用したイ号が属する場合も、属さない場合もあると思います(他の構成要件は同一であることを前提とします)。


 例えば、本件特許発明の明細書に開示された「電話回線システム」では、ダイヤルアップ接続によるメール通信しか開示していないのに対し、「インターネット」を利用したイ号がADSL等のブロードバンド通信や、W−CDMA方式による無線通信を利用していたとしても、ダイヤルアップ接続によるメール通信と実質的に同じメール通信を利用して成立するのであれば、その限りにおいて請求の範囲の他の構成要素が一致している限り、イ号は、本件特許発明の技術的範囲には属するものと思います。


 これに対し、「インターネット」を利用したイ号がダイヤルアップ接続によるメール通信では実質的に成立し得ないものであれば、もはや本件特許発明の発明者が発明ないしは想定した範囲を越えていますので、請求の範囲の他の構成要素が一致していたとしても、本件特許発明の技術的範囲には属さないものと思います。


 特許発明の技術的範囲について実施例限定説を採るわけではありませんが、明細書に記載されていない事項、あるいは明細書の記載事項から当業者が容易に予測可能な事項以外を主張することは、特許権者が発明していない事項、明細書に開示していない事項を越えて権利主張することになり、特許法第1条の法目的や、36条4項1号に反するからです。


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