●平成17(行ケ)10756 審決取消請求事件「MIZUHO.NET」

  今日(6/1)も、新たな知財判決が多数掲載されていました。毎日、知財判決が出されますね。


 さて、今日コメントするのは『平成17(行ケ)10756 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟MIZUHO.NET」平成18年05月30日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20060531114611.pdf)の判決です。普段、商標を取り扱っていないので、この判決で引用されている最高裁判決を知りませんでした。勉強不足です。


 この判決の中で、裁判所は、

『1 取消事由1(本件指定役務が削除されていることの無視)について証拠(甲3の1〜3)によれば,原告は,本訴を提起した後の平成17年11月21日,本願商標の指定役務中,「第36類」に属する本件指定役務について,商標法10条1項の規定に基づき分割出願をするとともに,同日,同項の規定による分割出願に伴う手続補正として,本件出願から本件指定役務を削除したことが認められる。

 ところで,絶拒審決に対する訴えが裁判所に係属している場合に,商標法10条1項の規定に基づいて分割出願がされ,元の商標登録出願について願書から指定商品等を削除する補正がされたときには,その補正によって,新たな商標登録出願がされた指定商品等が削除される効果が生ずるが,その補正の効果が商標登録出願の時にさかのぼって生ずることはなく,審決が結果的に指定商品等に関する判断を誤ったことにはならないものと解される(被告の引用する前記最高裁平成17年7月14日第一小法廷判決参照)。

 そうすると,本件については,本訴が当庁に係属中,本件出願から本件指定役務を削除する補正がされたのであるから,その補正によって本件指定役務が削除される効果が生ずるが,その補正の効果は,本件出願時にさかのぼるものではない。』

と判断しています。


 つまり、上述の最高裁判決『平成16(行ヒ)4 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成17年07月14日 最高裁判所第一小法廷』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/055C4ABC55F0BA7049257124002698D7.pdf)では、拒絶審決に対する訴えが裁判所に継続している際、商標法10条1項の規定に基づいて分割出願をした場合、その分割出願と同時にする元の商標登録出願の願書から指定商品の削除等の補正は、出願時まで遡及することを認めなくとも,商標登録出願人の利益が害されることはなく,商標法10条の規定の趣旨に反することはない、と判示しています。詳しくは、上記最高裁判決を参照ください。


 なお、この最高裁判決は、商標が『eAccess』である点から、『eAccess事件』(http://www.oslaw.org/j/pdf/051017-2.pdf)と呼ぶそうです。


 また、この最高裁判決については、良く拝見させて頂いている菊間弁理士のブログ(http://kikuma.cocolog-nifty.com/kikublog/2005/07/057_40e4.html)にも書かれていました。菊間弁理士がそこでコメントされているように、拒絶審決に対する取消訴訟が裁判所に継続している際、分割出願をする場合、拒絶理由があるとされた指定商品等以外全ての指定商品等についても分割出願する必要がある点に注意が必要です。<今日、参考になったニュース>

●『標準技術集』
http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/shiryou/s_sonota/hyoujun_gijutsu.htm
・・・『ユーザからみた携帯電話端末の機能及びインターフェイス』(http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/hyoujun_gijutsu/keitai/mokuji.htm)が更新されたようです。色々と参考になり勉強にもなります。