●『平成17(行ケ)10495 審決取消請求事件 知的財産高等裁判所 』

 今日(5/31)は、知財判決が、商標2件、特許4件掲載されていました。


 さすがに、全部についてコメントする余裕はないので、今日は、そのうち、『平成17(行ケ)10495 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成18年05月30日 知的財産高等裁判所http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20060531092849.pdf について、少しコメントします。


 本事件は、無効審決に対する取消し訴訟で、原告(特許権者)の請求が棄却された事件です。


 原告は、取消事由1として、砂利及び炭を固めていないものに限定しないとした無効審決の認定の誤りを要求していましたが、裁判所は、請求の範囲中の用語『砂利及び炭を混合した温浴層』が請求の範囲の記載だけでは、砂利及び炭を固められているものであるか、固められていないものであるか不明確で、また明細書の記載を参酌しても原告が主張するように固められていないものと認めることはできないので、砂利及び炭を固めていないものに限定しないとした審決の認定に誤りがない、と判断しました。


 本件特許の明細書中には、「この最上層の温浴層(5)は砂利と炭片の混合層であって約100mmの厚さに形成して敷き詰め」等と記載されており、「敷き詰め」の記載から固められていないものを指しているような気もしないではないのですが、明細書や図面の記載から砂利及び炭を固めていない温浴層の開示がないと判断された以上、特許法第70条2項や、36条6項1号、1条等により、この判決は、妥当かと思います。


 いつものように結果論ですが、尚書きでも良いので、『砂利及び炭を混合』や『敷き詰め』について、一言、それらを固めない場合も含むように記載しておけば、このような問題は生じなかったものと思います。<今日、参考になったニュース>
●『平成18年度知的財産権制度説明会(初心者向け)開催について』
http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/torikumi/ibento/ibento2/h18_beginner.htm
●『「中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2005」について』
http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/torikumi/chushou/manual_2005.htm
・・・結構、参考になります。