●『平成17(行ケ)10817 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 』

  昨日紹介した、『平成17(行ケ)10817 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成18年05月25日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20060526133530.pdf)ですが、本事件は、商標の不使用取消審判の棄却審決に対する控訴審で、知財高裁で、個人輸入の仲介が商標の使用と認められず、原告の請求が認容された事件です。


 この判決では、
「そこで,本件について検討するに,審決は「被請求人は,日本の消費者からの注文に対して,個人輸入の範囲に限り応じていたものであり『白花油/ WHITE FLOWER』印の『薬用油』を日本に居住する一般の消費者に販売したものであるから,日本において商標法第2条第3項第2号に該当する行為,すなわち『商品‥‥‥に標章を付したものを譲渡』する行為をなしたものであることは明らかである(審決書6頁27行〜32行)としている。」


 しかしながら,前記のとおり,商標法50条2項本文は,商標の不使用による登録取消しの審判請求があった場合,被請求人は,日本国内における登録商標の使用を証明しなければならないことを規定しているところ,商標法2条3項2号にいう「譲渡」が日本国内において行われたというためには,譲渡行為が日本国内で行われる必要があるというべきであって,日本国外に所在する者が日本国外に所在する商品について日本国内に所在する者との間で譲渡契約を締結し,当該商品を日本国外から日本国内に発送したとしても,それは日本国内に所在する者による「輸入」に該当しても,日本国外に所在する者による日本国内における譲渡に該当するものとはいえない。


 本件において,審決は,上記のとおり,日本国内に在住する個人消費者が個人輸入により被告から「白花油/WHITE FLOWER」印の「薬用油」を購入していたことをもって,被告が日本国内において商標法2条3項2号にいう「商品‥‥‥に標章を付したものを譲渡」する行為をしたと判断しているが,上記に説示したところに照らせば,審決の上記判断は,商標法の解釈適用を誤ったものといわざるを得ない。」
 として、知財高裁は、特許庁とは異なり、個人輸入の仲介行為を、商標の使用行為(2条3項各号)ではない、と判断しました。


 インターネットを使った個人輸入の仲介や代行は、今や当り前ですので、難しいところです。


追伸;<今日,参考になったニュース>
●『“特許攻撃”で中国DVD産業が壊滅へ テレビや音楽プレーヤーへの波及も必至』
http://www.nikkeibp.co.jp/style/china/comment/060526_dvd/
●『ForgentのJPEG特許、再審査で一部却下』
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0605/27/news005.html
●『[近畿支部]弁理士の日記念講演会「ヒット商品に学ぶ知財戦略」(2006年5月27日)』
http://www.kjpaa.jp/public/pu_07activity/pu_02other/pu_05etc/pu_05etc_0619.html
●『日米特許庁における特許審査ハイウェイ試行プログラムの申出手続きについて』
http://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/highway_pilot_program.htm
●『放送・通信「融合」へ一歩 文化審議会報告案』
http://www.asahi.com/digital/internet/TKY200605260375.html
●『家電メーカー各社による家電リサイクル実績の公表について(平成17年度)』
http://www.meti.go.jp/press/20060526001/recycling_results-set.pdf
・・・特許とは関係ありませんが参考になります。