●特許法104条の3等について

 特許ニュースの今年の2月21日号くらいから平成17年に判決の言い渡しがされた判決について、千葉大法科大学院の青山教授が4回に分けて言及されています。


 最終回の平成18年2月24日号では、平成17年に判決の言い渡しがされた特許・実用新案件に基づく損害賠償又は差止めを求めた事件が89件で、そのうち権利行使が認められた判決が11件で、差止めが4件、損害賠償を認めた判決が10件とまとめらおられます。


 そして、特許法第104条の3の施行は、同年の4月1日ですが、早速適用された判決が15件、それ以前のキルビー判例に基づき権利濫用とされた判決が13件、当該特許権の無効審決が確定したため原告の請求が棄却された判決10件、あわせて平成17年の民事訴訟89件中38件(42%)が権利に瑕疵のあるとのことです。


 つまり、キルビー判例に基づく権利濫用と、104条の3による権利濫用とをあわせた合計28件は、当該特許権の無効審決が確定したため原告の請求が棄却された判決10件の2.8倍であり、権利行使が認められた判決11件の2.5倍にもなります。


 この数値を見ると明らかですが、特許の有効性の判断に関しては、特許庁の審査官・審判官より、裁判所の裁判官の方が、厳しいということになると思います。



 こうなると、権利行使をしても、40%以上の確率で特許が潰れる可能性があるということですので、今後は、権利行使を狙う特許であれば、裁判所における進歩性等の特許性の判断基準も考慮して明細書やクレームを作成したり調査をしないといけないですね。