●「偏光フィルム事件」(2)

 また、今回の知財高裁の「偏光フィルム事件」で明らかになったことの一つに、審査基準の遡及適用があります。


 知財高裁は、「偏光フィルム事件」の中で、審査基準に関し、
「特許・実用新案審査基準は,特許要件の審査に当たる審査官にとって基本的な考え方を示すものであり,出願人にとっては出願管理等の指標としても広く利用されているものではあるが,飽くまでも特許出願が特許法の規定する特許要件に適合しているか否かの特許庁の判断の公平性,合理性を担保するのに資する目的で作成された判断基準であって,行政手続法5条にいう「審査基準」として定められたものではなく(特許法195条の3により同条の規定は適用除外とされている。),法規範ではない・・・これをその特定の基準が適用される特許出願より前に出願がされた特許に係る明細書に遡及適用したのと同様の結果になるとしても,違法の問題は生じないというべきである。」
と指摘されています。


 つまり、審査基準は、あくまで審査をする際の判断基準に過ぎない、というものです。


 よって、審査基準に適合していなくても、法律に合っていれば、反論できるということです。


 我々弁理士や特許担当者は、「審査基準」を変えるくらいの意気込みで仕事をしたいですね。


 追伸;<今日、気になったニュース>
 ●『第67回「充実した審理と高い専門性で知的財産権を保護――知的財産高等裁判所 所長 篠原勝美氏に聞く(上)」(2006/04/28)』
http://bizplus.nikkei.co.jp/genre/soumu/rensai/senshin_chizai.cfm
 ・・・ちょうどタイミング良く知財高裁が紹介されています。