●分割出願の濫用とは?

 来年の特許法改正では、分割の世代を制限する「分割出願の濫用防止」の制度は採用されず、その代わり、補正の方で、シフト補正の制限や、分割出願等に対するファーストファイナル拒絶による補正の制限が制度が入ることは、前に日記に書きました。


 ここで、「分割出願の濫用とは?」何かというと、特許ニュースや何かの記事で読んだ記憶があります。確か、侵害訴訟で係争中の権利者が、その特許権に係る出願を分割出願として継続させておき、最初に成立された特許では上手く相手に逃げられそうな場合、分割出願から再度、相手の実施品を含むような請求の範囲を作成する、ことのようだったと思います。


 しかし、個人的には、分割出願を繰り返すこと自体は、分割出願の濫用とは言えないと考えています。


 これは、まず、分割出願は、親出願の出願当初の明細書または図面の記載範囲内でのみ認めらているので、特許法第1条の公開の代償としての特許付与の法目的は守られていると思うからです。

 また、分割出願の存続期間も親出願の出願日から計算しますので、出願日とは関係なく設定登録日から17年の存続期間を認めていた、かつての米国特許法サブマリン特許のような問題も発生しません。

 さらに、現行法でも、特許査定前であれば、分割の内容的・時期的要件(特許法第44条)を満たす限り、何度も分割出願できるからです。


追伸;<今日,気になったニュース>
●『中国のTVメーカーが直面する「知財」問題とは』(http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2006&d=0421&f=column_0421_003.shtml