●平成25(ワ)1918 損害賠償請求事件 著作権 民事訴訟 

 本日は、『平成25(ワ)1918 損害賠償請求事件 著作権 民事訴訟 平成25年05月17日東京地方裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20130524164730.pdf)について取り上げます。


 本件は、損害賠償請求事件でその請求が認容された事案です。


 本件では、準拠法についての判断が参考になるかと思います。


 つまり、東京地裁(民事第29部 裁判長裁判官 大須賀滋、裁判官 小川雅敏、裁判官 森川さつき)は、


『1準拠法

 文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約(以下「ベルヌ条約」という。)5条(2)によれば,著作物の保護の範囲は,専ら,保護が要求される同盟国の法令の定めるところによるとされるから,我が国における著作権の有無等については,我が国の著作権法を準拠法として判断すべきである。我が国とアメリカ合衆国(以下「米国」という。)は,ベルヌ条約の同盟国であるところ,本件各作品の著作者は,米国法人である原告であると認められるから(甲1の1ないし37),我が国において著作権法による保護を受ける(著作権法6条3号,ベルヌ条約5条(1),2条(1))。なお,著作権侵害を理由とする損害賠償請求の法的性質は不法行為であり,法の適用に関する通則法17条により準拠法を決定するべきであるところ,本件において,同条にいう「加害行為の結果が発生した地」は日本国内であると認められるから,我が国の法律がその準拠法となる。


2(1)以上を前提に,まず,本件各作品のうち,原告が請求の根拠とする作品11番,26番及び68番の著作物性について検討する。


 作品11番,26番及び68番は,いずれも,総合格闘技であるUFCの大会における試合を撮影した動画映像であり,各場面に応じて被写体(選手,観客,審判等)を選び,被写体を撮影する角度や被写体の大きさ等の構図を選択して撮影・編集され,映像に,選手等に関する情報等を文字や写真により付加する等の加工を加えたものである(甲16の1ないし3)。このように,作品11番,26番及び68番は,試合の臨場感等を伝えるものとするべく,被写体の選択,被写体の撮影方法に工夫がこらされ,また,その編集や加工により,試合を見る者にとって分かりやすい構成が工夫されているものということができるのであって,思想又は感情を創作的に表現したものであると認められるから,映画の著作物に該当する。


(2)原告は,作品11番,26番及び68番の企画・製作を行った者であり,映画製作者としてそれらの著作権を有するものと認められる(甲1の8,16,32)。また,被告が上記各作品について別紙一覧表の番号11,26及び68に記載の日時,場所において,パーソナルコンピュータを使用して,株式会社ニワンゴがウェブサイト「ニコニコ動画」を運営するために設置して管理するサーバコンピュータ内の記録媒体に,作品11番,26番及び68番の情報を記録・保存し,インターネットを利用する不特定多数の者に対し自動公衆送信し得るようにしたこと,被告が故意により上記行為に及んだことについては,当事者間に争いがない。


(3)株式会社ニワンゴが設置・管理する上記サーバコンピュータは,公衆からの求めに応じ自動的に公衆送信を行うものであり,上記サーバコンピュータ内の上記記録媒体は,上記サーバコンピュータの記録媒体のうち自動公衆送信の用に供する部分であると認められるから(甲2の1ないし84),上記サーバコンピュータは自動公衆送信装置であり,上記記録媒体は公衆送信用記録媒体に当たるものと認められる。


 したがって,被告の上記(2)の行為は,作品11番,26番及び68番を送信可能化するものであり(著作権法2条1項9号の5イ),原告の公衆送信権(同法23条)を侵害するものに当たる。


(4)よって,被告は,原告に対し,著作権公衆送信権)侵害の不法行為責任に基づく損害賠償義務を負う。』


 と判示されました。


 詳細は、本判決文を参照して下さい。