●平成24(行ケ)10113 審決取消請求事件 商標権「グッドウェア」

 本日は、『平成24(行ケ)10113 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟「グッドウェア」平成24年11月29日 知的財産高等裁判所http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20121206105535.pdf)について取り上げます。


 本件は、商標法51条1項に基づく商標登録取消審判の棄却審決の取り消しを求めた審決取消訴訟で、その請求が棄却された事案です。


 本件では、取消事由2(品質誤認行為についての判断の誤り)についての判断が参考になるかと思います。


 つまり、知財高裁(裁判長裁判官 芝田俊文、裁判官 岡本岳、裁判官 武宮英子)は、


『2取消事由2(品質誤認行為についての判断の誤り)について

(1)原告は,本件使用商標は,登録されていない商標であるのに「®」を付しているから,これが商標法51条1項の品質誤認行為に該当すると主張する。


 使用商標3とほぼ同一と認められる「Goodwear」の文字のみからなる商標は米国で商標登録されているものの(甲53の3),使用商標3が我が国において商標登録されていないことは,当事者間に争いがない。また,「®」の記号は,登録商標の表示として,主として米国で用いられている記号であるが,我が国においても,登録商標の表示として使用されることも多く,一般の取引者,需要者においても「®」の記号を登録商標の表示として認識することも多いものと認められる(甲34〜42,弁論の全趣旨)。


 商標法51条1項の商品の品質の誤認を生ずる使用とは,商標が指定商品の種類を表示又は暗示する標章を含むものであるときに,指定商品と商標が実際に使用されている商品との間に相違がある場合,商標が表示する商品の品質が虚偽の事実を含む場合等をいうものと解される。


 しかしながら,「®」の記号を商標に付する行為は,これに接する取引者,需要者に当該商標が登録商標であるとの認識を与えるものの,登録商標であるか否かは,当該商標が付された商品の品質を示すものではないから,未登録商標に「®」の記号を付しても,品質の誤認を生ずると認めることはできない。


(2)原告は,「®」が付されていることにより,それを付された商標が,「他人の業務に係る商品若しくは役務との混同」による処罰がされないという合法性が保証されていることを示すものであるとか,それを付された商標が他人の商標権を侵害しないこと等の合法性を商標法に基づき特許庁が保証していることを想起させるものであるとか,あるいは,商標法3条2項の登録要件をクリアーしたということを意味し,伝統,元祖,老舗等を連想させるなどと主張するが,商品「ティーシャツ」の一般の取引者,需要者は必ずしも商標法の規定を認識しているわけではないから,原告主張のように想起すると認めることはできず,また,原告の主張する上記の点は,商品の品質ということはできない。


 したがって,原告の主張は採用することができない。』

 と判示されました。

 詳細は、本判決文を参照して下さい。