●平成24(行ケ)10143 商標登録取消決定取消請求事件「エコミニ」

 本日は、『平成24(行ケ)10143 商標登録取消決定取消請求事件 商標権 行政訴訟「エコミニ」平成24年11月29日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20121204110712.pdf)について取り上げます。


本件は、商標登録取消決定取消請求事件で、その請求が棄却された事案です。


本件では、本件商標と引用商標の類否についての判断が参考になるかと思います。


つまり、知財高裁(第1部 裁判長裁判官 飯村敏明、裁判官 八木貴美子、裁判官 小田真治)は、


『2本件商標と引用商標の類否について

(1)判断

ア本件商標

 本件商標は,欧文字「ECOMINI」を標準文字により横書きしたものである。本件商標からは,「エコ」「ミニ」「エコミニ」の称呼が生じ,表記どおりの外観を有する。また,「ECO」と「MINI」との間には一文字分の空白があることから,各部分からそれぞれの観念が生じ得る。すなわち,本件商標中の「ECO」部分からは「環境に優しい,環境に配慮した」との観念を生じ,「MINI」部分からは「小さい,小型の,小規模の」との観念を生じ得る。


イ引用商標

 引用商標は,欧文字「MINI」を標準文字により横書きしたものである。引用商標からは,「ミニ」の称呼が生じ,表記のとおりの外観を有する。「MINI」の語からは,「小さい,小型の,小規模の」との観念を生じるが,前記1で認定したとおり,引用商標は,需要者の間で,本件自動車及びその出所を表すものとして広く認識されているということができるから,引用商標が自動車に使用された場合には,需要者は,本件自動車及びその出所を認識すると認められる。


ウ取引の実情等

 前記1で認定したとおり,引用商標(「MINI」)は,少なくとも自動車に使用された場合,需要者において,BMWの業務に係る本件自動車を表示するものとして,広く認識されている。


エ類否の判断

 引用商標は,需要者の間で,本件自動車及びその出所を表すものとして広く認識されているということができるから,「MINI」の文字からなる標章が自動車に使用された場合には,需要者は,本件自動車及びその出所を認識すると認められる。


 本件商標は,「ECO」部分と「MINI」部分とに分断して看取することもできるところ,本件商標を指定商品である自動車に使用した場合には,「ECO」部分からは「環境に優しい,環境に配慮した自動車」との観念が生じるにすぎず,「ECO」部分の自他識別力は弱い。そうすると,上記のような「MINI」の文字からなる標章に,自他識別力の弱い「ECO」部分を結合させた本件商標を自動車に使用した場合,これに接した需要者は,本件商標中の「MINI」部分から,本件自動車及びその出所を想起し得ると認められる。


 以上に加え,原告は,これまで約40年間,本件自動車やその部品・付属品の販売等を行ってきたことも考慮すると(乙4),原告が本件商標を指定商品である自動車に使用した場合には,これに接した需要者が,BMWの業務に係る本件自動車であると誤認し,その出所につき混同を生じるおそれがあると認められる。よって,本件商標は引用商標に類似する商標であるといえる。

(2)原告の主張に対して

 原告は,これまでに,日本国内において,「自動車」を指定商品とする「MINI」又は「ミニ」の文字を含む商標は,90件以上登録されており,それは,それらの商標が引用商標と「MINI」又は「ミニ」の語を共通にするとしても,他の語句との結合により,引用商標とは区別することができるからであると主張する。

 しかし,他に「MINI」又は「ミニ」の語を含む商標が登録されている例があることをもって,本件商標が引用商標と類似しないということはできない。


(3)小括

 以上のとおり,本件商標は,引用商標と類似する。そして,引用商標は,BMWの業務に係る自動車を表示するものとして,需要者に広く認識されているところ,本件商標の指定商品は「自動車並びにその部品および付属品」であり,引用商標が使用されている商品である「自動車」と同一又は類似する。したがって,本件商標は商標法4条1項10号に該当する。』

 と判示されました。

 詳細は、本判決文を参照して下さい。