●平成22(ワ)13516 商標権侵害差止等請求事件 商標権「SAMURAI

 本日は、『平成22(ワ)13516 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟「SAMURAI」平成24年7月12日 大阪地方裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20120730111235.pdf)について取り上げます。


 本件は、商標権侵害差止等請求事件で、その請求が認容された事案です。


 本件では、まず、争点1(被告各商品と本件各登録商標の指定商品の類否)についての判断が参考になるかと思います。

 つまり、大阪地裁(第26民事部 裁判長裁判官 山田陽三、裁判官 松川充康、裁判官 西田昌吾)は、


『1争点1(被告各商品と本件各登録商標の指定商品の類否)について

 以下のとおり,被告各商品は,本件各登録商標の指定商品と同一又は類似の商品であると認められる。

(1) 指定商品に類似する商品

 法37条1号の規定する指定商品に類似する商品に当たるかどうかは,商品自体が取引上誤認混同のおそれがあるかどうかにより判定すべきものではなく,それらの商品が通常同一営業主により製造又は販売されている等の事情により,それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売にかかる商品と誤認されるおそれがあるかどうかにより判定すべきものである最高裁昭和36年6月27日第三小法廷判決・民集15巻6号1730頁参照)。


(2)被告各商品が本件各登録商標の指定商品と同一又は類似の商品であること


ア商品及び役務の区分

 法6条2項によれば,商標登録出願に係る商品又は役務の指定は,政令で定める商品及び役務の区分に従ってしなければならないとされており,法施行令1条によれば,経済産業省令で定める商品又は役務によって区分し,これを別表に記載するとされている。また,別表では「第24類」として「織物及び家庭用の織物製カバー」,「第25類」として「被服及び履物」が規定されている。


 これらの規定を受けて,法施行規則6条により,法施行令1条の規定による商品及び役務の区分に属する商品又は役務は,別表のとおりとすると規定されているところ,別表による区分には,以下の商品が含まれている。


 …省略…


イ被告各商品と本件各登録商標の指定商品との対比

(ア)被告各商品のうち「ポロシャツ,ロンTEE,ノースリーブシャツ」は上記法施行規則別表の「ワイシャツ類」又は「下着」に,「プラクティスシャツ(プラシャツ),プラクティスセット(プラセット),ロングプラクティスシャツ(ロンプラ),プラクティスパンツ(プラパン),ハーフピステ」は同別表の「洋服」又は「ワイシャツ類」に,「スウェット」は同別表の「洋服」に,「ロングインナーシャツ,ロングインナー,インナーシャツ,ロングインナーパンツ,インナーパンツ,アンダーウォーマーパンツ,アンダーウォーマー,ロングスパッツ,ボクサーパンツ」は同別表の「下着」に,それぞれ当たると認められ,これらの被告各商品は,いずれも,本件各登録商標の指定商品と同一の商品である。


(イ)被告各商品のうち「Tシャツ」は同別表の「ティーシャツ」に,「ネックウォーマー」は同別表の「保温用サポーター,マフラー」に,「ビーニー」は同別表の「帽子」に当たり,「タオル」は同別表の「布製身の回り品」に含まれ,その他の被服を含め,いずれも,本件登録商標1の指定商品と同一の商品であるが,本件登録商標2の指定商品とは異なる。


(ウ)被告各商品のうち「ユニフォーム」は同別表の「運動用特殊衣服」に当たり,本件各登録商標の指定商品とは異なる。


ウ被告各商品と本件各登録商標の指定商品との類否

 前記イのとおり,前記イ(ア)の商品は,本件各登録商標の指定商品と同一のものである。前記イ(イ)及び(ウ)の商品についても,被告が本件各登録商標の指定商品と同一のものである前記イ(ア)の各商品と併せて販売していることや,原告も同様の商品を販売していることからすれば,一般に同一営業主により製造又は販売されているものと認めることができる。


 したがって,これらの商品についても,本件各登録商標の指定商品と同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売にかかる商品と誤認されるおそれがあるものというべきである。


エ被告は,需要者が普段着として被告各商品を使用することはなく,これらは,ユニフォームとして「運動用特殊衣服」に区分されるものであって,本件各登録商標の指定商品である「被服」に類似する商品には当たらない旨主張する。


 しかしながら,被告各商品のうち上記イの各商品全てについて「運動用特殊衣服」に当たるというのは上記アの法令の規定と整合しない。また,素材及びデザイン等の観点からみても,被告各商品を普段着として使用することには何ら支障がないと認められるから,上記主張には理由がない。』

 と判示されました。