●平成23(ワ)9404 不正競争行為差止等請求事件 不正競争 民事訴訟

 本日は、『平成23(ワ)9404 不正競争行為差止等請求事件 不正競争 民事訴訟 平成24年6月7日 大阪地方裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20120612110318.pdf)について取り上げます。


 本件は、不正競争行為差止等請求事件で、その請求が認容された事案です。


 本件では、争点1(被告各商品は,原告各商品の形態を模倣した商品であるか)について等の判断が参考になるかと思います。


 つまり、大阪地裁(第26民事部 裁判長裁判官 山田陽三、裁判官 松川充康、裁判官 西田昌吾)は、


『1争点1(被告各商品は,原告各商品の形態を模倣した商品であるか)について

(1)法2条4項によれば,「商品の形態」とは,需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様,色彩,光沢及び質感をいう。


 証拠(甲1の1〜9,甲2の1〜9,甲3の1〜9,甲4の1〜9,甲5の1〜9,甲6の1〜9,甲7の1〜9,甲8の1〜9)によれば,被告各商品の形態は,いずれも,凸状部の表面の各辺に沿って溝部が設けられている構成であること(別紙被告商品形態1〔具体的構成態様〕(g),別紙被告商品形態2〔具体的構成態様〕(e),別紙被告商品形態3〔具体的構成態様〕(f)及び別紙被告商品形態4〔具体的構成態様〕(g))において,原告各商品の形態と相違するものの,その他の構成は原告各商品の形態と共通であることが認められる。


 そして,上記相違点に係る被告各商品の溝部は,深さが浅く,幅も狭いものであり,証拠(甲15の2・3)によれば,ドアミラーにウィンカーが設けられている自動車において,そのウィンカーの周囲に取り付けられて実際に使用された際には,識別することができない程の微細な形状の差違であることが認められる。


 そうすると,被告各商品は,原告各商品と実質的に同一の形態の商品であるというべきである。


(2)被告は,原告各商品と同種の商品として株式会社MIYAMAの製造販売する商品(乙1,4及び5。以下「MIYAMA商品」という。)があり,これは原告各商品の形態と同様の形態である旨主張する。


 そこで検討すると,そもそもMIYAMA商品の製造販売の開始時期は明らかではなく,少なくとも原告各商品に先行して販売されていたものであると認めるに足りる証拠はない。


 また,別紙原告商品目録1の商品は,三角形状部材(別紙原告商品形態1〔具体的構成態様〕(d))を有しており,底辺と斜辺の交差する先端部分が鋭角であるのに対し,証拠(乙1,4,5)によれば,上記原告商品に対応するMIYAMA商品(商品名(TOYOTA「キラ・メッキ」ウィンカーリング【T−Aタイプ】)は,三角形状部材に対応する部分の面積が上記原告商品の半分以下の大きさであり,底辺と斜辺の交差する先端部分も角が丸くなっており,一見して異なる形状であることが認められる。これらの差違からすると,上記原告商品と上記MIYAMA商品の形態が実質的に同一のものであるということはできない。


 他に,原告各商品とMIYAMA商品とが実質的に同一の形態であることを認めるに足りる証拠はない。


 加えて,原告各商品の形態と自動車メーカーの純正品の形態が大きく異なること(甲16,17,弁論の全趣旨)も考慮すると,原告商品の形態について,自動車のドアミラー及びそれに備え付けられたウィンカーの形状によっておおよそ決定されるものであるとか,同種の商品に共通するありふれた形状であるなどということはできない。


(3)前記(1)のとおり,原告各商品と被告各商品は,実質的に同一の形態の商品であるということができ,前記(2)のとおり,原告各商品の形態について,同種の商品に共通するありふれた形状であるということはできない。


 そして,被告が,被告各商品を製造するに当たり,原告各商品の存在や形態について認識していたことを自認していること(答弁書3頁)からすれば,被告各商品は,原告各商品の形態に依拠して作り出されたものであると推認することができる。


 以上によれば,被告各商品は,原告各商品の形態を模倣した商品であるというべきである(法2条5項)。


2争点2(損害額)について

 証拠(乙3,6〜8)によれば,被告は,被告各商品を合計800セット製造し,このうち85セットを販売したことが認められる。


 また,被告各商品の1セット当たりの利益が少なくとも1000円であることについて当事者間に争いはないが,これを上回ることを認めるに足りる証拠はない。


 そうすると,被告が被告の行為により受けた利益の額は8万5000円であり,原告は,同額の損害を被ったものと認められる(法5条2項)。』

 と判示されました。

 詳細は、本判決文を参照して下さい。