●平成23(ワ)35691 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟

 本日は、『平成23(ワ)35691 商標権侵害差止等請求事件 商標権 民事訴訟 平成24年4月25日 東京地方裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20120501134120.pdf)について取り上げます。


 本件は、商標権侵害差止等請求事件で、その請求が認容された事案です。


 本件では、本件商標権侵害の成否等についての判断が参考になるかと思います。


 つまり、東京地裁(民事第29部 裁判長裁判官 大須賀滋、裁判官 森川さつき、裁判官 菊池絵理)は、


『上記のとおり被告が自白したものとみなされる請求原因事実に基づき,原告の請求の当否について判断する。

1本件商標権侵害の成否

(1)本件商標の指定役務(「ファッションショーの企画・運営又は開催,ファッション情報の提供」)は,被告各標章の使用されている役務(若年女性向けファッションイベントの開催)と同一又は類似する。

(2)本件商標と被告各標章との類否
ア本件商標
(ア)本件商標は,「ShibuyaGirlsCollection」との欧文字を赤色で横書きし,これを,白色線で縁取り,さらに,その外縁を黒色線で縁取ったものであり,このうち,「i」の黒点部分及び「o」の内側円部分が星形に図案化されている。
(イ)本件商標は「シブヤガールズコレクション」との称呼を生ずる。
(ウ)本件商標が,「TOKYOGIRLSCOLLECTION(東京ガールズコレクション)」の姉妹イベントとして派生した原告イベントに使用されているものであり,上記「TOKYOGIRLSCOLLECTION」が国内最大級の女性向けファッションイベントとして著名であることなどの取引の実情を考慮すると,本件商標からは,渋谷に関連する,女性向けファッションイベントとの観念が生ずる。

イ被告各標章
(ア)被告標章1は,標準文字の「SHIBUMOGIRLSCOLLECTION」からなる標章である。

 被告標章2は,標準文字の「シブモガールズコレクション」からなる標章である。

 被告標章3は,赤色の長方形の中に,黒色で縁取りを施した白色文字の「SHIBUMOGIRLS」と「COLLECTION」を上下二段に分けて配置した標章である。

(イ)被告各標章は,いずれも,「シブモガールズコレクション」との称呼を生ずる。
(ウ)被告各標章の「SHIBUMO(シブモ)」部分からは特段の観念は生じず,「GIRLSCOLLECTION」部分からは,女性向けファッションイベントとの観念が生ずる。

ウ本件商標と被告標章1
 本件商標は,上記(2)ア(ア)のとおり,欧文字の大文字と小文字を使用し,かつ,一部を星形に図案化した赤色文字からなるものであるのに対し,被告標章1は,上記(2)イ(ア)のとおり,欧文字の大文字のみを使用し,かつ,標準文字からなるものであるが,両標章が欧文字22文字中,20字において共通することを考慮すると,両標章は外観において類似する。

 上記(2)ア(イ)及び(2)イ(イ)のとおり,本件商標と被告標章1の称呼は,一音(「ヤ」と「モ」)を除き同一であり,両標章は称呼において類似する。

 上記(2)ア(ウ)及び(2)イ(ウ)のとおり,本件商標と被告標章1は,女性向けファッションイベントとの観念を生ずる点で類似する。

 したがって,本件商標と被告標章1は類似する。

エ本件商標と被告標章2

 上記(2)ア(ア)及び(2)イ(ア)のとおり,本件商標が欧文字を使用し,一部を星形に図案化した赤色文字からなるものであるのに対し,被告標章2は片仮名の標準文字からなるものであるから,両標章は外観において相違する。

 しかし,本件商標と被告標章2が,称呼及び観念において類似することは前記ウでみたところと同様である。

 したがって,本件商標と被告標章2は類似する。

オ本件商標と被告標章3

 上記(2)ア(ア)及び(2)イ(ア)のとおり,本件標章と被告標章3は,いずれも赤色を基調とし,欧文字を使用してなる標章であり,かつ,欧文字22文字中,20字において共通するものであるから,両標章は外観において類似する。

 本件標章と被告標章3が,称呼及び観念において類似することは前記ウでみたところと同様である。

 したがって,本件商標と被告標章3は類似する。

(3)被告が被告各標章を若年女性向けファッションイベントの開催実績の告知等のため,本件Webページに掲載することは,商標の使用(商標法2条3項8号)に該当する。

(4)したがって,被告が,被告各標章を本件Webページに掲載するなどして使用することは,本件商標権を侵害するものとみなされる(商標法37条1号)。

(5)以上によれば,原告は,商標法36条に基づき,被告に対し,被告各標章の使用の差止め及び本件Webサイトその他の営業表示物件からの被告各標章の抹消を請求することができる。

不正競争防止法違反の成否
 不正競争防止法2条1項1号に該当する事実については,請求原因事実のとおり認められる。

3原告は,商標権侵害の不法行為責任及び不正競争防止法違反による損害賠償責任に基づき,被告に対し,原告が被った損害1000万円及び弁護士費用100万円(上記金額については,前記第2のとおり,被告が自白したものとみなされる。)並びにこれらに対する上記不法行為日の後である平成24年3月8日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を請求することができる。

4以上のとおりであり,原告の請求にはいずれも理由がある。』

 と判示されました。