●平成23(行ケ)10132 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟「一側の

 本日は、『平成23(行ケ)10132 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟「一側の毛先だけテーパー状に先鋭化された針状毛が植毛された歯ブラシ及びその製造方法」平成23年12月13日 知的財産高等裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20111216130055.pdf)について取り上げます。


 本件は、拒絶審決の取消を求めた審決取消請求事件で、その請求が棄却された事案です。


 本件では、まず、取消事由1(手続違背の有無)についての判断が参考になるかと思います。


 つまり、知財高裁(第2部 裁判長裁判官 塩月秀平、裁判官 古谷健二郎、裁判官 田邉実)は、


『1 取消事由1(手続違背の有無)について

 原告は,審決が,平成22年4月19日付けの補正による請求項1〜9のうち,請求項1のみを本願発明として容易推考性の存否を判断し,請求項2〜9について審理・判断せずに審判請求を不成立としたことは違法である旨主張する。


 しかしながら,特許法は,1つの特許出願に対し,1つの行政処分としての特許査定又は特許審決がされ,これに基づいて1つの特許が付与され,1つの特許権が発生するという基本構造を前提としており,請求項ごとに個別に特許が付与されるものではない。このような構造に基づき,複数の請求項に係る特許出願であっても,特許出願の分割をしない限り,当該特許出願の全体を一体不可分のものとして特許査定又は拒絶査定をするほかなく,一部の請求項に係る特許出願について特許査定をし,他の請求項に係る特許出願について拒絶査定をするというような可分的な取扱いは予定されていない。そして,このことは,特許法49条,51条の文言のほか,特許出願の分割という制度の存在自体に照らしても明らかである(最高裁平成19年(行ヒ)第318号同20年7月10日第一小法廷判決・民集62巻7号1905頁参照)。


 したがって,複数の請求項に係る特許出願について,その一部の請求項に出願を拒絶すべき事由がある場合には,当該特許出願の全体を拒絶すべきであって,審決が,本願発明について特許法29条2項の該当性を判断した上で,本件出願全体について請求不成立としたことに違法はない。』


 と判示されました。