●平成22(ワ)9966 意匠権侵害差止等請求事件「マニキュア用やすり」

 本日も、『平成22(ワ)9966 意匠権侵害差止等請求事件「マニキュア用やすり」平成23年9月15日 大阪地方裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110921110143.pdf)について取り上げます。


 本件では、まとめについての判断が参考になるかと思います。


 つまり、大阪地裁(第21民事部裁判長裁判官森崎英二、裁判官 達野ゆき、裁判官 網田圭亮)は、


『4まとめ

(1)差止請求について

 前記2で認定判断したとおり,被告意匠は,本件意匠に類似しているから,被告コスモが被告商品を輸入して,これを被告大創に卸売販売し,被告大創がさらにこれを小売販売する行為は,本件意匠権を侵害する行為であるということになり,原告は,被告らに対し,本件意匠権に基づき同行為の差止めを求めることができる(意匠法37条1項)。


 もっとも,被告らは,被告商品を製造していないから(前提事実(3)),その行為の差止めを求める原告の請求には理由がなく,原告の被告らに対する差止請求は上記の限度で理由があることになる。


(2)廃棄請求について

被告商品は,本件意匠権の侵害行為を組成した物であるから,原告は,その廃棄を求めることができる(意匠法37条2項)。


 もっとも,被告コスモは,被告商品の輸入販売を行う者であって,被告商品の製造に必要な金型を所有しているとは認められないから,金型の除去に係る原告の請求は理由がない。


(3)損害賠償請求について

 原告は,本件意匠権の侵害により,前記3(4)のとおり239万9646円の損害を被ったと認められるところ,本件において,被告コスモは被告商品を輸入して被告大創に販売し,被告大創は,これを一般市場で販売しているから,両被告による本件意匠権の侵害行為は,共同不法行為であると認められ,被告らは,原告に対し,連帯して損害賠償責任を負うことになる(民法719条)。


 なお,被告大創は,被告コスモと被告商品の取引をするに際し,同社に対し,知的財産権の侵害はないことを確認したとして過失がない旨争う。


 しかし,それ以上に自ら調査を行った事実が認められるわけではないから,仮に被告大創による被告コスモに対する上記確認がされた事実が認められたとしても,本件意匠権の侵害行為について被告コスモについて過失があったものとする意匠法40条の規定に基づく過失の推定は覆らないというべきである。』

 と判示されました。