●平成21(ワ)3409 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟

 本日は、『平成21(ワ)3409 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟「ジチオカルバミン酸系キレート剤の安定化方法」 平成22年12月16日 東京地方裁判所』(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110111143032.pdf)について取り上げます。


 本件は、特許権侵害差止等請求事件で、その請求が棄却された事案です。


 本件では、特許無効の抗弁に対する再抗弁としての訂正審判請求又は訂正請求についての4要件が参考になるかと思います。


 つまり、東京地裁(民事第47部 裁判長裁判官 阿部正幸、裁判官 柵木澄子、裁判官 小川卓逸)は、


『1 第2の1「争いのない事実等」(7)に記載のとおり,被告方法は本件発明の技術的範囲に含まれると認められる(なお,この点については,当事者間に争いはない。)。


 被告は,第3「争点に関する当事者の主張」1ないし4の〔被告の主張〕に記載のとおり,本件発明は進歩性を欠き特許法29条2項に違反して特許されたものである(争点1−1),本件発明は先願発明と同一であり特許法29条の2に違反して特許されたものである(争点1−2),本件発明に係る本件明細書の記載は改正前特許法36条4項に違反するものである(争点1−3),並びに,本件発明に係る特許請求の範囲の記載は特許法36条6項1号に違反するものである(争点1−4)として,本件特許は特許無効審判により無効にされるべきものであると主張する。


 ところで,本件特許については,その無効審判事件(無効2009−800082号)において,本件訂正の請求がされており,同訂正はいまだ確定していない状況にある。


 このような場合において,特許法104条の3第1項所定の「当該特許が特許無効審判により無効にされるべきものと認められるとき」とは,当該特許についての訂正審判請求又は訂正請求に係る訂正が将来認められ,訂正の効力が確定したときにおいても,当該特許が無効審判により無効とされるべきものと認められるか否かによって判断すべきものと解するのが相当である。


 したがって,原告は,被告が,訂正前の特許請求の範囲の請求項について無効理由があると主張するのに対し,

(i)当該請求項について訂正審判請求又は訂正請求をしたこと,
(ii)当該訂正が特許法126条又は134条の2所定の訂正要件を充たすこと,
(iii)当該訂正により,当該請求項について無効の抗弁で主張された無効理由が解消すること,
(iv)被告製品が訂正後の請求項の技術的範囲に属すること,

を主張立証することができ,被告は,これに対し,訂正後の請求項に係る特許につき無効事由があることを主張立証することができるというべきである。


 本件においても,原告及び被告は,本件訂正について,上記に沿った主張をしており,第2の1「争いのない事実等」(4)記載のとおり,原告は本件訂正に係る請求をしたこと(上記(i)),本件訂正は特許法126条,134条の2所定の訂正要件を充たすものであること(上記(ii)が認められ,また,同(8)記載のとおり,被告方法は,本件訂正発明の技術的範囲に含まれるもの(上記(iv))と認められる(なお,この点については,当事者間に争いはない。)。


 そこで,以下,本件訂正により,本件特許の特許請求の範囲請求項1について無効の抗弁で主張された無効理由が解消するか否か(上記(iii))について判断する。』


 と判示されました


 詳細は、本判決文を参照してください。